はじめに 生産システムの人間支配7
乾いた雑巾を絞る 「トヨタ社員は過労死」名古屋地裁判決
棄民の一世から出稼ぎの三世へ 日系ブラジル人を襲うトヨタショック
第一部 自動車絶望工場 ある季節工の日記33
第一章 季節工8818639番(一九七二年九月)35
出迎え/体力検査/第三大林和風寮/トヨタ自動車本社工場/同室者/
ミッション組付コンベア/給料日/娑婆から地獄へ/眠れない夜/
単調さを破る試み/四二億円の大増資
第二章 新記録を可能にしているもの(一九七二年一〇月)62
標準作業/ぼくの作業内容/大気汚染の主犯/「金さえもらえばいい」/
自動車総連結成/一分二〇秒のサイクル/一分一八秒に/トヨタの持家制度/
日産七六〇台態勢へ/賃金明細書/ロボットの叛乱/やって来た季節工たち
第三章 〝脱落者〟たち(一九七二年一一月)88
「トヨタマンは人間ではない」/哀しい笑い話/辞める季節工たち/
生産累計一〇〇〇万台/無限動力者/限界を越える労働
第四章 増産・労災・不満(一九七二年一二月)102
むなしい労働のくりかえし/労災死亡者の扱い方/風呂での対話/
衆議院選挙投票日/部品の支配/人間トランスファーマシン/
年産二〇〇万台突破/労働者と〝外套〟/また労災の発生/
「あいつを呼ぼう」/「反対だけど……」
第五章 ついに昼夜二交替(一九七三年一月)117
日産八〇〇台態勢/半期の利益三二〇億円!/バイオリズムと感電/
一分一六秒に/一六歳の深夜労働/工藤君病気で倒れる/真夜中の怪談/
「一丸となって前進」/労働時間のり取り
第六章 期間満了!(一九七三年二月)133
トヨタ式海外進出/トヨタの中の自衛隊/「愛される車を世界に」/
一分一四秒に/五木村からの出稼ぎ/入院した季節工/
後任者はあっけなく退職/〝無期懲役者〟たちとの別れ
第七章 もう一度豊田へ(一九七三年四〜五月)146
季節工たちのその後/アルバイト/調理師学校の夢/職業病未認定患者/
ぼくの後任者たち/「会社はうまくできている」/殺人ライン/
桃太郎とキビダンゴ/副委員長と保安係/人間と機械の競争
補章 トヨタ式合理化の歴史163
二一四六名の首切り/『覚え書』をめぐる謎/「労使宣言」の効果/
トヨタにおける身分別組織/トヨタにおける提案制度/
トヨタ式生産システム/安上がり工場進出法/織機と軍隊/
悲しみの・豊田
補章の補章 キカンコーとハケン185
あとがき(ベルトコンベアについて)196
文庫版あとがき200
新装増補版あとがき201
資料 解説 本多勝一202
資料 新装増補版 解説 重松清207
第二部 トヨタと日産 自動車王国の暗闇213
Ⅰ いま自動車産業に何が起きているか215
「チャレンジ50運動」の挫折/クルマの生産を担う陰のひとびと
Ⅱ トヨタ王国の裏側228
生産性向上運動のはてに/豊田、地域支配の構図/不思議の国の暗部
Ⅲ 自動車工場のなかの人間259
苦役としてのベルトコンベア/檻のなかで——日産のタレントたち/
トヨタの住宅政策/クルマの繁栄は何をもたらしたか/
自動車産業、繁栄の翳り
Ⅳ 日産の現場では……305
追浜暗黒工場/日産ディーゼルの反乱/ある労働貴族の軌跡
Ⅴ 日米自動車戦争の行方368
生き残りを賭けたアメリカ進出/日本的忠誠心の輸出/果てしなき拡大/
あとがき397
文庫版へのあとがき399
あとがき 生産の効率化と人間性 鎌田慧401