英国の隅々まで行こう!1996年ケンブリッジ大学ペンブローク・カレッジに創設された九大生用の「ケンブリッジ大学英語・学術研修」に、1999年から毎夏、同行するようになってから、著者は英国巡歴への興味を深め、現地滞在中の週末に英国各地へ出かけるようになってからも26年の月日が過ぎている。そして、その間に培った旅の個人的実務能力を、研修参加者にフィードバックし指導に活かすようになり、いつしか得心のゆくまで巡歴を続けて、著書にまとめられれば、と願っていたところ、勤務先のサバティカル(長期研究休暇制度)を取得できた2025年、その内2か月弱を、いままで手薄だった方面に足を運び、集中取材を行い、内容が固まってきたため、ようやく刊行することになったのが本書である。第1章では、地区別の観光地羅列は避け、学ぶ姿勢を持つ若い層を念頭におき、ジャンル毎に適切と思われる延べ約1000の目的地を紹介した。有力なガイドブックでは、掲載有無により、日本人訪問者数が如実に違う実態を知り、少しでも異なる観点からの紹介をしたく、一般のガイドブックとは異なり、なるべく少ないページ数で、解説は最低限に、かわりに多くの訪問地を原則写真付で、全ての場所を平等に一気に見渡してから訪問地を選べるようにした。第2章では、これまでの経験に基づき、ガイドブックには見られない、安全で適切な旅程作りのための細かい知恵と注意点をまとめた。第3章では、単なる物見遊山でなく学ぶ姿勢を持っての訪問の方が、後からの充実度の差につながると、事前に訪問国・英国の歴史や社会文化についての学習をしておくことをお薦めしている。本書は、わたし1人の観察によるものなので、やはり、いろいろな限界や偏りがあるであろう。知識では、英国人に質量ともに到底かなうはずがなく、英国に住む日本人の持つ情報と比べれば、心許ないことは確かだ。しかし、だからこそ、同じ立ち位置から英国へ旅しようと考えている方には、本書は有益なものになり得るとも考えている。特に、若い頃の鉄道趣味(1997年に30歳代前半で地下鉄、私鉄、路面電車、ケーブルカー等を含めた日本の鉄道全線完乗を果たした)が、今回の英国旅行における鉄道利用の仕方の記載への厚みにもつながっていると思っている。