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その空間を統治するのはだれか

その空間を統治するのはだれか

佐川 徹 (編集)
岡野 英之 (編集)
大澤 隆将 (編集)
池谷 和信 (編集)
通常価格 3,850 円(税込)
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商品説明
新たな世界を想像するために


国家、企業、住民そして多様なアクターたちの様々な力が錯綜し、せめぎ合いながら生成する現代の「フロンティア空間」。
ジェームズ・C・スコットの「ゾミア」概念を補助線に、世界各地に点在するその空間の実態と統治をめぐるダイナミズムを描き出す!



●執筆者紹介(編者は*)
佐川 徹*
担当:序章、第4章、おわりに
慶應義塾大学文学部准教授。博士(地域研究)。
専門はアフリカ地域研究、文化人類学。

岡野英之*
担当:はじめに、第8章、終章
近畿大学総合社会学部准教授。博士(人間科学)。
専門は文化人類学、政治学。

大澤隆将*
担当:序章、第5章
金沢大学国際基幹教育院講師。PhD (in Social Anthropology)。
専門は社会人類学、インドネシア地域研究。

池谷和信*
担当:はじめに、序章、第9章
国立民族学博物館・総合研究大学院大学名誉教授。
博士(文学)、博士(理学)。
専門はアフリカ研究、環境人類学。

武内進一
担当:第1章
東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター教授。
博士(学術)。
専門はアフリカ研究、国際関係論。

後藤健志
担当:第2章
日本学術振興会特別研究員(RPD)/立命館大学専門研究員。
博士(文学)。
専門は文化人類学、アマゾニア地域研究。

宮地隆廣
担当:第3章
東京大学大学院総合文化研究科教授。
博士(学術)。
専門は比較政治学、ラテンアメリカの政治と開発。

寺内大左
担当:第6章
筑波大学人文社会系准教授。博士(農学)。
専門は環境社会学、国際開発農学、インドネシア地域研究。

鈴木佑記
担当:第7章
国士舘大学政経学部准教授。博士(地域研究)。
専門は東南アジア地域研究、文化人類学。

桐越仁美
担当:第10章
国士舘大学文学部准教授。
博士(地域研究)。
専門はアフリカ地域研究、地理学。

久保忠行
担当:第11章
立教大学観光学部教授。
博士(学術)。
専門は文化人類学。

二文字屋脩
担当:第12章
愛知淑徳大学交流文化学部准教授。
博士(社会人類学)。
専門は文化人類学、狩猟採集民研究、東南アジア地域研究。

近藤 宏
担当:第13章
神奈川大学人間科学部准教授。
博士(学術)。
専門は文化人類学、ラテンアメリカ研究。
目次
はじめに(池谷和信・岡野英之)
本書で対象とする地域(地図)


序章 現代世界におけるフロンティア空間の動態(佐川 徹・大澤隆将・池谷和信)
 一 国家や企業による領域化の進展
 二 統治されない技法
 三 国家統治の遍在性をこえて
 四 フロンティア空間
 五 各章の内容


第Ⅰ部 領域化の進展とその限界

第1章 フロンティア空間の変容と領域統治の強化──ルワンダの事例から(武内進一)
 一 はじめに
 二 アフリカの国家と統治
 三 ルワンダの国家と統治
 四 フロンティア空間の変容
 五 結  論

第2章 アマゾニア植民者による空間への知覚と従事──統治の工学にみられる官僚的実践の美学(後藤健志)
 一 フィールドの情景
 二 本章で検討する問題
 三 永続するフロンティア
 四 階層構造の操作
 五 官僚的実践の美学
 六 適応と耽溺

第3章 統治/被統治の同時性と流動性──ボリビア熱帯低地部におけるコカとコカインの管理をめぐって(宮地隆廣)
 一 問題の所在
 二 チャパレの領域化
 三 モラレス政権期のチャパレ
 四 結  語


第Ⅱ部 住民にとってのフロンティア空間

第4章 領域化の進展と統治されない態度──東アフリカ国境地域における開発と牧畜社会(佐川 徹)
 一 土地豊富社会からの転換期
 二 ダサネッチの生成史と移動
 三 帝国統治のフロンティア空間
 四 二一世紀のフロンティア空間
 五 負い目を抱くのはだれか

第5章 開発され切らない熱帯泥炭地──インドネシア、スマトラ島のリアウ州の一村落の事例を通して(大澤隆将)
 一 はじめに
 二 森林開発の展開
 三 歴史的な泥炭地利用
 四 想像力の展開と実行力の限界
 五 おわりに

第6章 焼畑民は国家と企業の土地開発を飼いならすことができるのか──インドネシア東カリマンタン州の石炭開発の現場から(寺内大左)
 一 はじめに
 二 カリマンタンの焼畑民の生活
 三 土地開発フロンティアの中の焼畑民の想像力と実行力
 四 焼畑民の想像力と実行力を支えた背景要因
 五 土地開発に付帯する国家と資本の統治
 六 おわりに

第7章 海のフロンティア──タイ領アンダマン海域における国家・資本・海民の関係性を探る(鈴木佑記)
 一 はじめに
 二 東南アジア海域の領域化
 三 海民の海
 四 国家と資本の海
 五 おわりに


第Ⅲ部 移動を継続させる想像力と実行力

第8章 ゾミアに引かれた国境線を越える──タイ=ミャンマー国境地帯におけるシャン人移民の歴史的変遷(岡野英之)
 一 はじめに
 二 議論のスタート地点としての「ゾミア」
 三 シャン人とは
 四 シャン人を取り巻く伝統的な統治体系
 五 シャン人移民の流れ
 六 おわりに

第9章 フロンティア空間の発見と消失──カラハリ砂漠の事例から(池谷和信)
 一 はじめに
 二 一九世紀のバクウェナ首長国(一八三一‐一八八四年)とカラハリ人の移動
 三 二〇世紀のイギリス保護領(一八八五‐一九六六年)におけるカラハリ人の生活の再編
 四 ボツワナ独立後(一九六七‐二〇一〇年)のカラハリ人の移動と適応
 五 まとめと考察──カラハリ砂漠からの展望

第10章 新天地を目指す躍動──ガーナにおける移民コミュニティ「ゾンゴ」の変容と移民の農地獲得(桐越仁美)
 一 はじめに
 二 ゾンゴの成立と変容、統治体制
 三 植生移行帯テチマン
 四 植生移行帯へ人びとが流入する理由
 五 テチマン周辺における移民の土地入手の実態──W氏の事例から
 六 フロンティアを求める人びととゾンゴ・コミュニティ
 七 おわりに──ゾンゴの変容とフロンティアの創出


第Ⅳ部 国家とは別様の想像力

第11章 国家的想像力のオルタナティヴ──ミャンマー難民をめぐるマルチ・サイテッド・エスノグラフィー(久保忠行)
 一 はじめに
 二 マルチ・サイテッド・エスノグラフィーの視点
 三 難民キャンプと統治の空白地帯
 四 国境を越えた繋がりと想像力
 五 おわりに

第12章 開発に抗するとりとめのない想像力──タイ北部・ムラブリにみる暮らしの論理(二文字屋脩)
 一 はじめに
 二 国家に包摂される狩猟採集民
 三 開発=統治の進展
 四 移住と残留
 五 重なりつつも交わらない複数の想像力
 六 おわりに

第13章 逃走が開く「翻訳」の可能性──コロンビア国内避難先住民の移動とその政治(近藤 宏)
 一 はじめに
 二 移動する者の主体性と政治
 三 都市における本質化
 四 多文化主義的空間の想像力
 五 周縁における国家のようなもの
 六 帰還に抗することの政治
 七 国内避難先住民のように見ることと存在論的政治


終章 統治のフロンティアを再考する──統治のアクターは国家だけなのか(岡野英之)
 一 はじめに
 二 国家の統治能力は強まっている?
 三 管理・監視技術の広がり──「統治」の想像力と実行力を高めたのは国家だけなのか
 四 国家の統治は強まっているのか
 五 方法論的全体性を考える──統治の全体性、研究対象の全体性
 六 誰によるのかが明確ではないまま切り開かれる統治のフロンティア
 七 フィールドワークをすることの限界
 八 おわりに


おわりに
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事項索引
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