美知比幾

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念力の通過手間取る網戸かな
作者は呼吸器内科という、今まさにコロナ禍という一瞬たりとも気の抜けない、緊迫の最前線に身を置く。そんな状況下にありながら、僅か二年で第二句集という超人的な作家活動も塾す。俳句を忙殺される本業のシェルターなど甘くは考えてはいない。
むしろ仕事と創作という両輪の均衡が、既に抜き差しならぬトポフィリアTopophillia「場所への愛」を作り上げてしまったようだ。
しかし、これからの道程、そこを安住の地にしてはならぬのかも知れぬ。
帯より:中原道夫

◆「美知比幾」十二句選
春泥をただ駆け回る祭とや
藤揺るる空とはいへぬ高さにて
袋角いかにも喧嘩弱さうな
短夜のほぼ雑音の子守歌
放埒や縦に寝そべる雲の峰
達人は動かぬやうに綿花摘む
大文字書き順守る気はさらさら
当番の世事に疎きが秋刀魚焼く
鶏頭の十六本目隠れけり
白菜の大きな面をしてやがる
冬立つや雲に差したる雲の影
雪吊のあそこらへんが幾何究理
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