シリーズ自句自解Ⅱベスト100 秋尾敏

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◆自句自解シリーズ

再会や緑の島に緑生う

 二十五年ぶりの友との再会。緑の島であるべきうるまの島(沖縄)に、本来の樹木の茂りが戻っていた。
 初めて沖縄を訪れたのは昭和三十九年。中学二年の夏休みにパスポートを携え、本土復帰を願う那覇中学との交流会に参加した。摩文仁の丘はまだ戦火に焼き払われた状態で、生い茂った樹木はなかった。けれど、それから四半世紀を経て再び訪ねてみると、丘の上には鬱蒼と樹木が茂り、これが本来の島の姿だったと気づかされたのである。
 復帰を願う交流会ではあったが、沖縄の文化に触れた中学生は、ここはひとつの国であろうと思ったのであった。
(『私の行方』昭和六十三年)/001



 詩歌は、ごく個人的な言葉によって、既存の状況認識をつきやぶり、新たな世界観を提示しようとする。
つまり、世界は暗いと思っている人を明るさに導き、無力だと思っている人に可能性を与え、何でも許されると思っている人に、それは違うと囁きかける。
 ときには、くじけそうな自分自身に別の道を示し、こちらを向いてくれない人を振り向かせようともする。あるいは、世界は単純だと思っている人に複雑さを教え、ものごとは簡単ではないと諭すこともある。
 それらが成功するかどうかは問題ではない。そういう言葉を発することが重要なのだ。彼方に去って行く魂を引き留めようとすることもある。不可能なのだけれど。
(解説より)
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