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土岐善麿の百首

土岐善麿の百首

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◆百首シリーズに土岐善麿が登場!

生活派短歌の旗手

春の夜のともしび消してねむるときひとりの名をば母に告げたり
(『遠隣集』)

雑誌「余情」の「土岐善麿研究」が出たとき、善麿は六十三歳だった。戦争を生き抜いた感慨をもって、自伝的連作「世代回顧」三十首を巻頭に寄せた。妻、タカの名を母に初めて告げた夜の思い出。四十年前を振り返った作品と思えない瑞々しさである。恋愛結婚だった。学生時代、頼まれて女学校の催しを手伝いにいったときに出会い、二年ほどつきあって機が熟したのだった。善麿には〈女といふをんなのなかに、われの妻、われの鷹子にまさるものなし。〉(『雑音の中』)という手放しの作品もある。人生の大事な岐路には、妻の助言があった。
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