祭星句集

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◆第一句集

芭蕉より蕪村が好きで春の土手

ふとこぼれた本音のような一句である。「春の土手」は蕪村の「春風馬堤曲」へのオマージュだろう。朔太郎は『郷愁の詩人 与謝蕪村』の中で、蕪村のポエジーの実体は「時間の遠い彼岸に実在している、彼の魂の故郷に対する『郷愁』」であると語っている。祭星氏の作品の底に流れる抒情の源もまた〈魂の故郷への郷愁〉であるかもしれない。

跋より・皆川 燈


◆作品紹介
氷り田を月越す山の鳴りやまず
美しき十五夜ゆがむ玻璃戸越し
はたと肩打たれて葛の花なりし
雨あらき闇の底なる鳳仙花
白梅に夜明けくるものみな濡れて
芽柳の影わが影にまつはりて
春の水なり枯葦を縫ひながら
枯るる沼かぐろきままに澄めりけり
たましひの遊び呆けるけし畑
こほろぎが小さく鳴き澄む脳の襞
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