万の枝

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◆第四句集

つゆけしや夕暮れの声捨てに出て

『万の枝』は、『草の王』以後九年間の作品を収めた第四句集である。
 新型コロナウイルス感染症の世界的流行を経て、ようやく対面での句会が復活し、「椋」誌もこの秋には創刊二十周年を迎える。私も、この句集を一つの区切りとしたかった。
(あとがきより)


◆収録作品
大瑠璃のこゑに縛されゆくごとし
畝高く立ててあり春待つてをり
碧玉の一湖も秋に入りにけり
足組んで春が深しと思ひをり
みそはぎや胸に棲むこゑひとつある
しろだもの花よ冬日のやうな花
たとふれば炎心の色夏果つる
とうすみの影より淡き翅を閉づ
尾で応ふる猫よ十二月の窓よ
凍つるよをみひらきしまま逝きにけり
秋水に幼な子の名を訊きかへす
藪漕ぎの陽春の野に出でにけり
昔日や鏡の奥に蜘蛛が住み
ほうたるを待つ横顔に加はりぬ
秋入日束の間稜線を溢れ
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