「神の手」はエリミネート(排除)されたのか―。手術支援ロボット「ダヴィンチ」の登場は、かつて医師の勘や技量に委ねられていた高難度の手術を、「再現可能な技術」へと変貌させた。開腹不要で、3D画像による立体視と、直観的な操作。このシステムを、長年現場で操ってきた著者は「人間の脳の働きを具現化した装置」と考える。
「神の手」とも称され、名人や達人だけが体得していた、言葉にできない「技(暗黙知)」の正体とは何なのか。本書では、その核心を脳内に蓄積された「膨大なパターンの記憶」と「直観」のメカニズムからひも解く。天才の領域とされてきた暗黙知を、ロボットはいかにして誰もが習得できる「形式知」へと変えたのか。脳科学の分野に踏み込みつつ、親しみやすいエッセーとして解き明かす。
いかにして直観を磨き、無駄のない再現性を手に入れるか。技能においてプロフェッショナルを目指すすべての人に、熟達へのヒントを提示する一冊でもある。