マーガレット・ドラブル文学を読む

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マーガレット・ドラブルは現代イギリスを代表する作家・英文学研究者の一人で、1963年、20代の頃に『夏の鳥かご』(A Summer Bird-Cage ) で文壇デビューを果たした。以来、およそ半世紀にわたって19本の小説を発表してきたドラブルは、その創作活動のなかで徐々に作風を変化させていった。

当初の作風は、ドラブルがケンブリッジ大学で師事した F. R. リーヴィスの影響を受け、J. オースティンや G. エリオットらの作風を受け継いだ、倫理意識を重視したリアリズム小説であった。三作目の『碾臼』(The Millstone ) のヒットにより、彼女は母性、女性の生き方を描く「フェミニズム作家」として読者や研究者に捉えられるようになった。その後ドラブルは60年代末から70年代初頭にかけて、語りの人称変化を取り入れたり(『滝』(The Waterfall ))、中産階級から労働者階級へと物語の舞台を移すなど(『針の眼』(The Needle's Eye ))、徐々に作風を変化させていった。2000年代にはドキュメンタリーとフィクションが同比重を占める作品(『ペッパード・モス』(The Peppered Moth ))を発表し、さらに平凡なテーマながら斬新な語りの技法を用いた作品(『七人姉妹』(The Seven Sisters ))を発表するなど、常に進化を続けている。

本書は、六つの作品の緻密な分析と著者が行ったドラブルへのインタビューから、こうした変遷が、第二次世界大戦直後の伝統文化への回帰、その後の植民地の独立と植民地的価値観の主張、歴史観の変遷といった戦後イギリスの思潮変化や、ドラブルが英文学研究者として20世紀の主要な批評理論に触れてポストモダニズムに傾倒していったことに起因することを明らかにしようとするものである。
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