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「第三帝国」以前の「第三の国」

「第三帝国」以前の「第三の国」

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商品説明
1923年から1933年までは、ナチス・ドイツの自称であり、通称であり、俗称である「第三帝国」という言説が流布した10年であった。12世紀イタリアで生じた歴史を三分割する思想が、ナチスの語彙とは異なる意味で用いられ、19世紀後半から第一次世界大戦期までのヨーロッパやロシア、それに日本に多大な影響を与えたことは、日本は言うに及ばず、ドイツでも、いまだ学術的に究明されていない。「第三帝国」das Dritte Reich以前の「第三の国」das dritte Reichを初めて本格的に検討する本書は、未開拓領域の全容を明らかにする
目次


 1 今や我国にも「第三帝国」の声は高い
 2 未開拓領域
 3 見取り図

第一章 ネオ・ヨアキム主義

 1 フィオーレのヨアキム
 2 始原と終末の枠構造
 3 ヨアキム受容
 4 「第三」と「国」

補遺一 「第三帝国」研究における「第三の国」

 1 ジャン・フレーデリク・ノイロール『第三帝国の神話』
 2 フリッツ・シュテルン『文化的絶望の政治』
 3 ジョージ・ラッハマン・モッセ『フェルキッシュ革命』
 4 クルト・ゾントハイマー『ヴァイマル共和国における反民主主義思想』
 5 ジョージ・ラッハマン・モッセ『大衆の国民化』
 6 ゴットフリート・ガーブリエルほか編『哲学歴史事典』
 7 ブッハルト・ブレントイェンス『第三の国の神話』
 8 コルネーリア・シュミッツ・ベルニング『ナチズム用語集』
 9 クラウス・エッケハルト・ベルシュ『国民社会主義の政治的宗教』
 10 シュテファン・ペーガツキ『穴だらけの私』
 11 ヘルマン・ブッツァー「第三帝国における『第三帝国』」
 12 マッティーアス・リードル『フィオーレのヨアキム』
 13 リヒャルト・ファーバーとヘルゲ・ホイブラーテン編『イプセンの『皇帝とガリラヤ人』』

第二章 背教者ユリアヌス

 1 高次の第三のもの
 2 19世紀ドイツにおけるユリアヌス受容
 3 フケーの『皇帝ユリアヌスと騎士たちの物語』
 4 アイヒェンドルフの叙事詩「ユリアーン」
 5 「ドイツ的な世紀」の彼方

第三章 日本における「第三の国」

 1 雑誌『第三帝国』
 2 イプセン受容
 3 メレシコフスキー受容
 4 新理想主義

第四章 東西交点としての「第三の国」

 1 1923年
 2 日本の『第三帝国』とドイツの『第三の国』
 3 パウル・フリードリヒ
 4 東と西における「パウリ、フリードリツヒ」

第五章 異端の正統者ルードルフ・カスナー

 1 アンチポーデ
 2 新しい「試み」
 3 観相学的世界像
 4 前綴りein-

第六章 東方からの黙示

 1 ワシリー・カンディンスキー
 2 トーマス・マン
 3 ロシア的本質
 4 言葉の英雄

第七章 ユーリウス・ペーターゼンの憧憬

 1 問題の書の問題性
 2 『ドイツの伝説と文学における第三の国への憧憬』(前半)
 3 『ドイツの伝説と文学における第三の国への憧憬』(後半)
 4 連続の中の不連続

結び 「第三の国」の行方

補遺二 日本におけるナチス研究の躓き

 1 Nationalsozialismusをめぐる訳語問題
 2 国家社会主義か国民社会主義か
 3 未来へのメッセージとしての訳語

 参考文献一覧
 初出一覧
 あとがき
 事項索引
 人名索引
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