セレスティーナ

〈あたしゃ神様がお作りになった通りの婆ァ、ほかの婆ァ連中よりとくべつ悪かない。みんなとおんなじように自分の仕事して正直一途に暮らしてる。〉売春の取り持ち、離婚調停、怪しい薬の調合、産婆から悪魔使いまで、裏社会のあらゆる仕事を請け負う老婆セレスティーナ。報酬欲しさに、恋に取り憑かれた貴族の若者の願いを叶えるべく、強欲な従僕らと結託し奔走するが、事態は悲劇的結末へと向かい......下層社会でのピカロ（ならず者）たちの活躍を描き、等身大の人間の欲望、衝動、情念を浮き彫りにする、『ドン・キホーテ』に比肩するとも評される中世スペイン文学の傑作。詳細な注と解説を付した新訳決定版。