10万人に1人という難病ALSと診断され、現在闘病中の著者による回想記。目でパソコンを操作する視線入力で70年の人生を振り返った。本書タイトルの「案山子」は、この病気になると全身の筋肉が衰退し、顔の表情筋も弱り、まるで案山子のようだと著者が思ったところからつけられている。
生い立ちからはじまり、小中高時代の生き生きとした日々、家族のこと、本業の農家でセロリ農家として成功を収めるまでの試行錯誤、そして24歳でやり投げ自己最高記録達成、駅伝、アームレスリング、トライアスロンなど、さまざまなスポーツへの挑戦を振り返る。
「この男はやはり普通じゃない。英語では賞賛の意をこめて「He is different.」というが、そういう意味で横地幸夫は普通と違っている。群れと仲良くしても埋没しない。いつまでも青くて無垢な、清々しいところがある。髪の毛は残ってないが、人間としての鮮度はちゃんと残っている。野菜と同じく人間も瑞々しい青さをなくしてはならないのだろう」(小川雅魚=編集)