本書は、財産目録の歴史的生成及びその発展を概観し、さらに財産目録と簿記及び貸借対照表との関連性の検討を通じて、この財産目録の再評価とその制度化の必要性を論じたものである。
本書の構成は以下の通りである。第1章「財産目録論序説」では、まず財産目録の概要に触れ、次に財産目録の前提となる実地棚卸の内容及び財産目録の役割について論じたものである。第2章「財産目録制度の変遷」では、フランス及びドイツにおける財産目録制度の変遷と、わが国の財産目録制度の変遷について論究したものである。第3章「財産目録と簿記」では、歴史的に財産目録と簿記とがどのような関係で発展してきたのかについて考察したものである。第4章「財産目録と貸借対照表」では、従来、財産目録を貸借対照表の摘要表とみる考え方が一般的であるが、そもそも財産目録は貸借対照表とどのような関連性を有するのかという、いわば財産目録間の類型化を試みたものである。第5章「財産目録・簿記・貸借対照表の関係」では、これまで必ずしも明確化されてこなかった財産目録と簿記・貸借対照表とに関する三者間の関係について詳しく検討したものである。第6章「財産目録の役割」では、ドイツ商法及びフランス商法を中心に財産目録の役割について論究したものである。第7章「コソンの財産目録論」では、株主にとっての会計情報として財産目録の重要性を主張するコソン学説について取り上げたものである。第8章「ヒントナーの財産目録論」では、経営経済的観点から財産状態の把握を目的として臨時的な財産目録の作成を主張するヒントナー学説について検討したものである。そして、第9章「財産目録制度論」では、財産目録制度化の必要性について論じたうえで、さらにそれに対する筆者なりの提言を試みたものである。そして、第10章「総括と展望」では、本書の要旨と財産目録制度化の意義について触れたものである。