本書は、国立大学法人制度の発足前に文部科学省や国立大学協会などにおける検討会に委員として参加し、また、この4月から財務・施設担当理事として実際に大学マネジメントに携わってきた筆者自身の経験のなかから必要性を感じていた、国立大学法人のマネジメント、とくに財務マネジメントに関する手引書である。企業会計方式を導入した国立大学法人会計基準および国立大学法人監査基準に基づく会計および監査の実務については監査法人等により既にいくつかの入門書が公刊されているものの、その前提をなす財務マネジメントについては、国立大学法人制度の仕組みに即してその内容をコンパクトにまとめた市販の入門書を、現時点で筆者は見つけ出していない。本書は、学長・理事をはじめとする経営陣だけでなく、現場で大学の運営に関わっている教職員の皆さんが国立大学法人の新しい制度の財務と会計の仕組みとその課題に関してより理解し、また、今後における大学の運営に対して一助となることを願って執筆されたものである。
前年、著者が上梓した『大学評価とアカウンタビリティ』で、著者は国立大学法人化前に文部科学省が公表した「新しい『国立大学法人』像について」並びに「国立大学法人会計基準(中間報告)」を手がかりに、主として財務会計の側面から大学評価とアカウンタビリティとの関係について考察した。そして、この前著の一部をベースにして、広くマネジメントの観点から、その後成立した「国立大学法人法」およびに漸次、明らかとなった法人制度の骨組みと内容について、新たに取りまとめたものが本書である。すなわち、国立大学法人の財務マネジメントに関する手引書を目指して、著者は、本書において前著のいくつかの章を大幅に書き改め、また前著において取り扱わなかった交付金、予算、施設管理、監査などの諸問題を加えて、全面的に再構成した。