本書はドイツにおける中小企業の概念、現代の連邦中小企業政策、創業支援の財務的側面を考察するとともに、経営経済学との関係において財務論の歴史的展開を跡づけようとする広範な視野のもとに構成されている。
第1部では、まず中小企業の概念を考察した後、現在のドイツ中小企業政策がどのような理念のもとに、どのような支援策を実施しているかを調べる。ノイアー・マルクトの開設とともに株式上場の件数も一時増加したがITバブル崩壊とともに低迷に陥った状況を考察する。経営財務の問題としては企業者としての意思決定の観点が必要であり、意思決定の基本概念を述べるとともにドイツ企業の法形態選択に関連させて効用価値分析の方法を述べる。ドイツで長い伝統をもち今日でも議論されることの多い企業評価問題とともに中小企業の特殊性を考究する。
第2部では、著名な研究者であるディーター・シュナイダーの著述を基礎として考察を進める。シュナイダーは「企業者職能論」という名称を自身の経営経済学につけ、独自の見解を持つユニークな学者であるが、これについての説明は最後の章に回し、投資決定論をはじめとして財務論の歴史的な展開から述べた。