本書は、不透明といわれる建設産業の原価構造と原価情報開示を外注費を中心に研究したものである。その特徴は、そこで解明された事実に立脚して、既存の外注費の概念に新たな解釈を与え、提言に結び付けた点である。
わが国の建設業の不透明さについては、これまでにも多くの批判がある。それは建設業の財務報告書に不透明な部分があるからである。その原因は、大手ゼネコンでは原価構成の70%を外注費が占めているという点である。また、建設業には、建設業の目的に沿った原価計算基準がなく、特に、外注費の区分処理に曖昧な点があり、企業情報の透明性、比較可能性に重大な影響を与えているという問題もある。また、その情報開示にも不透明さがあり、建設業原価を比較できないものとしている。
本書は、先ず、建設外注費の本質とその測定の困難性を中心に論述した。手法としては、建設外注費の本質を様々な立場からの研究を基礎として分析し、その論点を整理した。建設業における外注費は、複合経費という性格を持っている。そのため外注費勘定の中に外注費に相当する金額を収めることができない場合が多く存在し、企業会計上、外注費は、真実の原価といえないこともある。建設業会計の不透明さは、この外注費の性格に集約されるといっても過言ではない。さらに情報開示の実態を取り上げ、仮説を立て検証し、明らかになった成果に基づき、建設原価開示制度への提言へと導いた。