現代会計の国際化とは、いかなる会計現象であるのか。とりわけ、国際会計基準と各国の会計制度とは、どのような関係にあるのか。本書は、このような課題の解明を通じて、「会計とは何か」を考察するものである。
現代会計の国際化現象とは、国際的な会計制度の構築ということであるが、具体的には、国際会計基準の各国会計制度への浸透を意味する。現在、この過程が急速に進行しているといわれているが、会計の現実の世界では果たしてそうであろうか、というのが第一の疑問である。そして第二の疑問は、国際会計基準を論ずる場合に、なぜ同時に各国会計制度の特徴と現状を斟酌しないのであろうか、ということである。このような疑問に答えようとしたのが、本書の内容である。
本来各国の会計制度は、その国の風土、歴史、文化に根付いた制度的なものであるから、その変更は容易なことではない。現代会計の国際化の急速な進展にもかかわらず、各国独自の会計制度の根深い存立という現状が、それを示していると思われる。
著者は、各国の会計基準が国際会計基準を中心に国際的調和化または統一化との関連から論じられていることに気づいて以来、各国の会計基準を統一した国際会計基準を作成することは可能か、という疑問を抱くことになった。この問題に対する回答を得るためにも、各国の会計制度・会計基準を研究する必要を感じた。そうした研究なしに各国の会計基準を国際的に調和化ないし統一化するということは困難であると考えたからである。
そこで、実際に定められている会計基準と、それに従って実行される会計実務との関係を研究するための具体的なテーマとして選んだのが「リース取引の実態と会計処理方法に関する研究」であり、一連の研究は博士論文としてまとめることになった。この論文では、韓国及び日本のリース取引の実態を分析し、同時に国際会計基準及びアメリカのリース会計基準と対応させながら韓国及び日本のリース会計基準の特徴と問題点を明らかにした。
以上のような経緯によりこれまでの研究成果をまとめたのが本書であり、その内容は次のⅢ部から成り立っている。
第Ⅰ部「会計制度の国際化」は、急速に変化している国際会計基準を含め各国(日本、韓国、シンガポール)の会計制度の国際化の現状を紹介した。
第Ⅱ部「会計方法選択に関する考察」は、各国におけるそれぞれの現状に至るまでに、会計処理において中心的問題とされ、議論されてきたことはなにか、すなわち、現代会計が抱えている根本的な問題点について書いたものである。
第Ⅲ部「リース会計の現状と国際化」は、国際化の議論が継続している会計処理方法の中で、リース取引についての各国での会計処理は、どこまでグローバル化されてきているのか、国際会計基準におけるリース会計基準は各国のリース会計基準をどこまで改善しているのか、といった課題をとりあげた。