近代会計理論では論理化し得ない新しい会計基準、すなわち、原価・配分・対応・実現を中心概念とする理論を基礎とする会計基準(原則)とは、性質を異にする新しい会計基準が、アメリカでは1950、60年代から徐々に現れ始め、1970年代になると、その流れは一層加速した。原価・配分・対応・実現といった理論枠組に収まりきらない、そして、将来予測要素を採り入れて、資産、負債を拡大し、そのことによって費用を早期に弾力的に計上する新しい性質を持つ会計基準が、続々と登場するようになった。それらを現代会計の基準というならば、その現代会計基準は以下のように類型化できると考える(その内容は、認識領域拡大の類型化でもある)。
① 資産・負債の早期両建て計上
② 資産の評価替による時価計上
③ (無形)資産計上とその償却(弾力的償却による費用計上)
④ 資本と費用の早期・見積計上
⑤ 負債と費用の早期・見積計上
これらの類型に共通してみられるものは資産および負債の拡大による認識領域の拡大であり、その力点は、そのことを通じての費用・損失の早期・見積計上であると言える。その現代会計の特徴をもっとも良く表わしているのが類型⑤であるといえよう。つまり、現代会計の理論とその理論に支えられる現代会計基準がもっともよく機能するところは、負債の認識領域の拡大であり、そのことを通しての費用の早期計上であると考える。そのような現代会計についての見方のもとに、本書名を『負債拡大の現代会計』とし、アメリカ現代会計が推し進めてきた負債拡大会計の諸側面を考察した。