本書の執筆者たちはこれまで、ドイツ会計の共同研究を通じて、ドイツ会計制度の改革の意義について、EU会計統合戦略との関わりで検討してきており、その成果を二冊の書籍として著してきた。本書はそうした共同研究の延長線上に位置するものであり、会計制度の国際的改革動向のなかで、とくにIAS/IFRSの適用問題に焦点づけて、EUとドイツにおける会計制度変革の内容を検討したものである。EUにおいては、IAS/IFRSの適用に際して、会計規制委員会と欧州財務報告諮問グループによる二重のエンドースメント・システムとエンフォースメント・システムのメカニズムを構築し、この2つのシステムの構築を通じて、アングロサクソン型のIAS/IFRSを「EU法の一部」に転化し適用するメカニズムを形成した。ドイツも、2004年に「会計法改革法」と「会計統制法」を成立させて、EUのIAS/IFRS適用システムに適合する会計法改革を実現した。本書は、そうしたEUとドイツを「全体と個」にみたて、その相互の関連性のなかで、IAS/IFRSのエンドースメントとエンフォースメントのシステムについて考察する。そして、その考察を通じて資本市場指向の会計制度改革が有する今日的意味を探求しようとするものである。