本書は、ヨーロッパの新しい会計戦略の路線転換を背景として、ドイツの会計国際化の戦略的対応について、ドイツ会計基準委員会の研究を通じて考察している。本書は6章編成で構成されている。
第1章は、ドイツ会計基準委員会の創設・展開の基礎的な環境条件であるドイツの会計制度改革が商法会計規範システムの包括的・混成的な法体系の中でいかに進められたかを論究している。
第2章は、1998年のドイツ会計基準委員会創設に至る過程でのドイツ版プライベートセクター設置構想の変遷を取り上げたものである。
第3章は、ドイツ会計基準委員会の設置の意味と役割について取り上げ、1998年創設から2003年改組への展開がドイツ会計基準にどのような変化があったかを論究している。
第4章は、ドイツ会計基準委員会に関連して、会計規制論の立場から、その位置づけを論究した、フェルトホフの「会計規制における国家の介入」、エムリヒの「会計基準ベースの私的な会計規制」、ブライデンバッハの「私的会計委員会と国家の管轄権」、ベアベリヒの「私的な自主規制と国家の規制責任」を取り上げている。
第5章は、ドイツ会計基準委員会の存在意義を象徴していたドイツの概念フレームワーク公開草案を取り上げ、意思決定有用性アプローチ・会計領域拡大というアングロサクソン型の概念フレームワークをドイツ会計全般に適用可能とした主張とそれに対するドイツ経済検査士協会と経営経済学教授連合による批判について論究している。
第6章は、ドイツ会計基準委員会をめぐる論争点と2003年改組後の将来方向を論究したものである。
本書は、このように、EU-IAS/IFRS承認路線へのドイツの戦略対応のなかで、ドイツ会計基準委員会が1998年創設から2003年改組への展開を図ったことを究明するとともに、ドイツ会計基準委員会に対し、私的会計規制と国家の規制責任という分析視点から、その意味と役割を解明している。