本書のタイトルであり、著者の専門分野でもある「環境財務会計」という言葉は、「環境会計」と「財務会計」を併せた造語である。「環境財務会計」では環境会計情報のうち、財務会計において認識すべき会計数値を既存の財務会計制度の中に取り込み、財務会計基準に則って適切に認識・測定・開示することの必要性と可能性を追求する。また財務会計の立場からも、重要性の高い環境会計数値が財務諸表に適切に表され、財務諸表により企業の財政状態・経営成績・キャッシュフローを判断する上での重要な要素となることを目指す。本書『環境財務会計論』では、そのような「環境財務会計」の構築・展開を行い、環境問題全般への適用可能性を検討する。
本書の構成としては、第1章において、伝統的な財務会計の会計原則、会計情報の質的性格等の包括的理論に基づき環境財務会計の構造を確立する。その上で、第2章で土壌汚染問題に代表される環境法の制定に伴う2000年以前のU.S. Environmental GAAPの発展を論究し、第3章で資産除去債務に代表される環境負債の測定に伴う2000年以降のU.S.Environmental GAAPを論究する。このように第2章・第3章で、具体的なU.S. Environmental GAAP制定の過程を緻密に分析・検証・考察していく。そして第4章では、第1章で確立した環境財務会計の構造を基礎概念とし、その上に第2章、第3章で論究した具体的なU.S. Environmental GAAPを適合させ、米国の財務会計基準に基づく環境財務会計の構築と展開を具現化する。終章では、今後の国際的展開を交えたグローバルスタンダードとしての環境財務会計を展望する。