本書は、現代ドイツにおける連結納税制度といわれているOrganschaft(機関会社関係)の所得計算過程の構造を、ドイツ商法典の貸借対照表規定との関連で解明しようとしたものである。特に、「機関会社」(子会社)から「機関の担い手」(親会社)への会計上の利益移転と税法上の所得の帰算(Zurechnung)の関連を税務申告書の構造分析を通してその全体像を明らかにしている。一国の社会経済制度の中で会計と税法がどのようにかかわりあって機能しているのか。この両者のかかわりあっている制度的な仕組みとその意図を解明することが中心課題なのである。
本書は、序章、第1部、第2部、結章で構成されている。序章は本書全体を貫くテーマについての問題提起である。第1部では、個別企業の課税所得算定手続きにおける商事貸借対照表、税務貸借対照表、そして税務申告書の三社の関係性について解明する。第2部では、第1部の個別企業の所得算定手続きの検討成果を踏まえ、連結納税制度といわれる機関会社関係に関する法律、判例、学説、そして課税所得の算定手続きの各側面の内容を明らかにしている。結章では、以上の考察を踏まえてドイツ法人税にみる「機関会社関係制度上の所得算定にみる会計の制度的役割」に関して結論を導出している。