近年の経済状況の激変とともに、わが国の会計制度もまた大きな変化を遂げてきている。会計基準が急速に変化し、その計算体系は取得原価主義会計から時価会計へ移行してきたといわれており、また取得原価主義会計に一部時価評価を取り入れたともいわれている。
しかしここで留意しなければならないのは、いずれの方法が良いのか、悪いのかということの検討のみが目的とされるべきではないということである。評価方法という一側面のみを抽出し検討するのではなく、それを規定する根本となる考え方を検討してはじめて、計算体系の移行の原因を解明することが可能となろう。そして、それだけにとどまらず、今後ますます変動していくであろう経済環境への対応を考えていく際にも、こうした検討を積み重ねていくことが、論理的な矛盾を引き起こす危険性を減少させるであろうし、また適確な対応措置をとることを可能とすると考えられる。なにより会計理論は一定の理論体系の下に構築されているのであるから、早急な会計的解答を求めるあまり、その体系の繋がりを省みずに一部分だけを見つめ、その結果、論理矛盾を引き起こすことだけは避けなければならない。著者はその論理矛盾の解決の糸口が「中心観」にあると考えている。