現代のドイツ会計制度を踏まえて、その検討が本書の中心的なテーマである。本書は次の3つの部に整理しながらそれを明らかにする。
第1部はドイツ会計制度全般を考察対象とする。これは3つの章からなる。第1章では、2009年に成立した貸借対照表法現代化法によって改正された商法の概要を取り上げる。第2章では、ドイツ会計制度における伝統的な基準性原則が貸借対照表法現代化法によってどのように変容したかについて検討する。第3章では、改正された商法会計が税務会計にどのような影響を及ぼしたのか、両者の会計規定の関係について論じる。
第2部は資本会計制度の領域を取り上げる。これは6つの章からなる。第4章では、まず伝統的なドイツの資本会計制度を検討し、それが改正商法によってどのように進展したかについて検討する。第5章では、資本会計の分野で論議が多い資本準備金規定についてその沿革も踏まえて詳述する。第6章では、従来の資産的取扱から資本のマイナス処理に変更となった自己持分(自己株式)の処理法を取り上げ、わが国の処理法とも比較考察する。第7章では、ドイツにおける分配規制について旧商法と改正商法とを対比させながら検討する。第8章では、資本と類似するがそれとは明らかに異なるドイツ出資制度についてゲゼルシャフト法・商法・税法の各サイドについて論じる。第9章では、ドイツ会計制度において特にユニークな隠れた出資概念について取り上げる。
第3部はドイツの現代会計における3つのテーマを取り上げる。第10章では劣後債の会計について考察する。第11章では、デット・エクイティ・スワップの会計について考察する。第12章では、ドイツの合併会計について検討する。
そして、第13章はこれまで論究してきた本書の要約と結論部分である。そのなかで最終的にドイツ会計制度の特質を指摘するとともに、その現代的意義についても併せて試論を展開する。