本書は、著者のこれまで行ってきた日本経営史研究のうち財閥経営史に関する論稿をとりまとめたものである。
本書は2部構成をとっている。第1部第1章では、財閥の出自と成立に関連付けて、財閥の性格と役割について概説した。第2章では、財閥が、後進国として出発した日本経済の有力なリスクテイカーであったという立場に立ち、その役割を最もよく果たした明治中期から昭和戦前期にかけて展開された主要14財閥の競争実態とその結果について論述した。第2部では三井、三菱、安田、鈴木、川崎・松方、久原の6財閥と日窒、森のお2新興コンツェルンの経営史を8章立てで取り上げた。そして、6財閥と2コンツェルンの経営史の過程でエポックを画したテーマを設定・解説の上、それぞれのテーマを最もよく体現した企業経営者2名を選び、両者の事業経営活動の比較・検討をとおして、テーマとケースのコラボレーションの視点から財閥・コンツェルン経営史を立体的に解明することを試みた。