西谷敏著作集 第8巻

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西谷敏著作集 第8巻
  • 発売日:2025/05/27
  • 出版社:旬報社
  • ISBN:9784845118991

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西谷敏著作集 第8巻

西谷敏著作集 第8巻

通常価格 7,150 円(税込)
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商品説明
労働者「差別」をいかに認定し救済すべきか

労働者「差別」とは何かどのように救済すべきか。
労働者「差別」を、国籍・信条・社会的身分による差別、性別を理由とする差別、労働組合への所属やその正当な活動を理由とする差別、正社員と非正規労働者との処遇格差、に分類し、その認定、救済の在り方を探求する。
男女差別、組合差別、非正規雇用に関する意見書も収録。

◎内容紹介
 広い意味での労働者「差別」は、三つに分類できる。第一は、いわば伝統的な差別であり、労基法三条が禁止する国籍、信条または社会的身分による差別と、同四条および男女雇用機会均等法が禁止する性別を理由とする差別である。第二に、労働組合への所属や労働組合の正当な活動を理由とする差別的取扱い(労組法七条一号)がある。これは、差別の認定や救済方法などの点で伝統的差別と共通性もあるが、集団的労働法の問題として、通常は伝統的差別と別個に扱われる。第三は、正社員と非正規労働者との処遇格差である。これは、労働契約に根拠をもつ制度上の区分である点で伝統的差別と区別されることが多いが、本来平等に扱われるべき労働者が合理的根拠なしに別異に扱われる点で伝統的差別と共通性をもつ。形式的な性差別が解消しても、長時間労働など一般的労働条件の劣悪さのゆえに女性が非正規雇用に追いやられるという問題は、伝統的差別と正規・非正差別が現実にも「地続き」の問題であることを示している。そうした考慮もあり、本巻で伝統的な差別と非正規労働者にかかわる論稿をあわせて収録している。
 本巻では、まず思想による賃金差別に関する判例研究論文を一つ、男女差別に関する論文・意見書を合計七つ、そして、組合差別に関する意見書を二つ収録している。国鉄分割民営化に関する判例批判は、組合差別の問題ではあるが、主たる争点が差別の認定よりは責任主体にあったので、官公労にかかわる問題として第11巻に収録している。最後に、非正規雇用に関する論文・意見書を合計八つ収録している。そこには、正規・非正規の格差問題のほか、パート労働や派遣労働に固有の問題が含まれている。
目次
◎詳細目次
刊行にあたって
本巻はしがき

Ⅰ 思想差別
思想を理由とする賃金差別の法理――東京電力事件四判決をめぐって
 一 東京電力事件四判決の意義
 二 事案の概要と四判決の結論
  1 認定された事実
   (1)会社の反共労務政策
   (2)共産党員・支持者であることの認識
   (3)賃金体系の性格
   (4)あるべき給与ないし平均的賃金の計算
  2 各判決の結論
  3 東電事件の特徴
 三 論点ごとの検討
  1 思想による差別の違法性
  2 差別と格差の因果関係の証明
   (1)問題の所在
   (2)大量観察方式と間接反証の理論
   (3)東電各判決の特徴
   (4)証明責任のあり方
  3 能力・業績の判断
  4 差別と適正な査定が混在した場合の損害額
   (1)東電四判決の立場
   (2)損害額認定の方法
 おわりに

Ⅱ 性差別
「男女共同参画社会」と雇用・就労
 一 「男女共同参画社会」の理念
 二 均等法改正と雇用・就労の平等
  1 差別の実態と均等法
  2 改正均等法の不十分性
 三 女性保護廃止の意味
  1 九七年労基法改正による女性保護廃止
  2 九八年労基法改正案による男女共通規制?
  3 女性保護廃止の論理と問題性
  4 予想される事態
 四 「男女共同参画社会」実現に向けて
  1 二一世紀に向けての女性労働政策
  2 時間短縮と労働時間の適正配置
 おわりに

コース別雇用管理と女性差別の違法性――住友電工事件大阪地裁判決に関する見解
はじめに
 一 判決の論理とその問題点
  1 判決の論理
  2 問題点
 二 いわゆるコース別雇用管理と男女差別
  1 コース別雇用管理と雇用管理区分
  2 二つのコース別雇用管理
  3 適正なコース制の要件
   (1)コース別管理の明確性
   (2)コース分け基準の合理性
   (3)処遇とコース分け基準の対応関係
  4 本件採用区分と判決の問題点
   (1)コース別管理の明確性
   (2)コース分け基準の合理性
   (3)本件コース制の性格
 三 憲法一四条と公序良俗
  1 判決の論理
  2 憲法一四条と公序良俗
  3 時代制約論について
 四 是正義務の内容

男女「コース制」の違法性とその救済法理――野村證券事件に関する意見書
 一 原審判決の概要と論点
  1 認定された事実
  2 男女「コース制」の法的評価
  3 論点
 二 コース制と男女差別
  1 コース別雇用管理の意義
  2 コース制と雇用管理区分
  3 真正コース制と不真正コース制
  4 本件「コース制」の特徴とその評価
 三 昇格差別と労基法・公序良俗
  1 昇格差別と労基法四条
   (1)労基法四条の規範的意味内容
   (2)労基法四条と昇格差別
   (3)本件昇格と労基法四条
  2 昇格差別と公序良俗
   (1)公序良俗と強行法規
   (2)旧均等法と公序良俗
   (3)昇格差別と公序良俗
 四 昇給・昇格差別と合理性
  1 昇給・昇格差別の判断方法
  2 業務内容の相違と性差別
  3 勤務地限定と性差別
   (1)転勤と経験、知識
   (2)転勤の生活負担
 五 昇給・昇格差別と救済のあり方
  1 賃金請求権と損害賠償請求権
  2 昇格した地位の確認

男女別コース制と労基法四条――兼松男女賃金差別事件に関する意見書
はじめに
 一 原判決の認定と判断
 二 労基法四条の意義と男女別コース制
  1 労基法四条の性格
  2 職務配置と労基法四条
  3 同一価値労働・同一賃金原則と労基法四条
  4 合理的根拠の立証責任
  5 男女別コース制と労基法四条違反
 三 原判決の判断の検討
  1 男女別コース制のとらえ方
  2 職務比較の方法
  3 女性の勤続年数

賃金・昇格差別の救済法理
はじめに
 一 昇格差別の法的性格
  1 職能資格制度と昇格
  2 資格決定(格付け)における裁量と限界
  3 資格の変更と維持
  4 女性に対する格付け差別の法的効力
 二 賃金差別の救済
  1 学説・判例の状況
  2 ドイツの取扱い
   (1)民法典の規定
   (2)賃金差別の救済方法に関する判例・学説
   (3)格付けと賃金差別
  3 差額請求権の根拠に関する私見
   (1)基本的な考え方
   (2)類型ごとの解決
 三 昇格差別と昇格地位確認請求
  1 賃金差別としての昇格差別の救済方法
  2 その他の昇格差別の救済
  3 男性基準の見方

性別による昇格差別と課長職資格の確認――芝信用金庫事件・東京高裁平成一二年一二月二二日判決
 一 事実の概要
 二 判  旨
  1 昇格差別の存在
  2 昇格後の資格確認の訴えの利益
  3 Xらの昇格の成否ならびに昇格の時点
  4 差額賃金、退職金、損害賠償請求権の存否等
 三 研  究
  1 昇格差別の認定
  2 昇格後の地位確認請求の認容
  3 判決の射程距離

切り開かれた差別救済の新地平――芝信用金庫事件高裁判決と和解の意義
はじめに
 一 芝信用金庫事件とは
 二 高裁判決の特徴
  1 昇格差別の認定
  2 使用者の平等取扱義務
  3 昇格後の地位確認請求の認容
   (1)一審・高裁判決の画期的意義
   (2)使用者の裁量との関係
   (3)昇格させないことは不作為か
  4 昇格した地位を認めるべき時期
  5 不法行為性
 三 判決と和解の意義
  1 差額賃金請求権と昇格した地位確認の承認
  2 女性差別事件へのインバクト
   (1)女性差別の現状
   (2)差別解消のための法的課題
  (3)高裁判決の基本的な発想
 おわりに

Ⅲ 組合間差別
組合所属を理由とする昇格差別について――放送映画製作所事件に関する意見書
 一 昇格差別の不当労働行為性判断における証明責任
 二 チーフ昇格について
  1 「等質性」の要件
  2 個別審査の方法
 三 課長昇格について
 四 副部長昇格について

公務員の組合活動と差別待遇――横浜税関事件・横浜地裁判決の検討
 一 一連の全税関事件
 二 労働組合抑圧と不法行為
  1 横浜税関事件の特徴
  2 他の二判決との比較
  3 労働組合の「非違行為」の意味
  4 労働組合の「行為」と「存立」
 三 昇任等差別の不法行為性
  1 神戸地裁判決
  2 大阪地裁判決
  3 横浜地裁判決の特徴
 四 検討課題

Ⅳ 非正規雇用
非正規雇用の拡大がもたらすもの
 一 増える非正規雇用
 二 「身分」としての非正規雇用
 三 非正規「身分」を拡大する労働法制再編
  1 派遣の自由化
  2 有期契約の限度期間の延長
 四 「雇用拡大」論と「多様な働き方」論
 五 今後の非正規雇用

「格差社会」と労働法
はじめに
 一 「格差社会」の見方
  1 格差の存在とその評価
  2 「格差社会」論の陥穽
 二 「格差社会」における労働者
  1 非正規労働者の実態
   (1)非正規労働者の増加
   (2)非正規労働者の状態
  2 正社員の状態
   (1)長時間労働
   (2)成果主義、競争の激化
 三 「格差社会」と法の役割
  1 日本的労使関係の「非法的」性格
   (1)緩やかな法的規制
   (2)無視される法的規制
   (3)「非法化」社会としての企業社会
   (4)長期雇用慣行の変貌と「非法化」
  2 規制緩和と企業社会
   (1)規制緩和の進行
   (2)規制緩和の意義
  3 社会の「法化」と法の「社会化」
  4 判例と企業社会
   (1)判例と法律
   (2)判例と企業社会の具体的関係
   (3)判例と労働契約法
 四 労働法の課題
  1 既存の法律・判例法理の遵守
  2 規制緩和の阻止
  3 新たな法的規制の整備
 おわりに

パート労働者の均等待遇をめぐる法政策
 一 はじめに
 二 パートタイム労働者の現状
  1 正社員の代替傾向
  2 パート労働者側の事情
 三 パート均等待遇に関する国際基準と日本
  1 労使の対立点
  2 ILOとEUの立場
  3 パートの均等待遇は特殊ヨーロッパ的か
  4 同一価値労働・同一賃金の意義
  5 パート労働者の均等待遇原則の妥当
 四 法的規制、ガイドライン、労使自治
  1 法解釈による解決の可能性
  2 均等待遇の法定と条件整備
  3 指針と労使自治
 五 法的規制のあり方
  1 均等待遇原則の宣言
  2 「均等」の具体的内容
 おわりに

労働契約法改正後の有期雇用――法政策と労働組合の課題
 はじめに
 一 非正規雇用と有期雇用の法政策
  1 非正規雇用としての有期雇用
  2 パート労働と有期雇用の区別
  3 誰が有期雇用を望むのか
 二 有期雇用はなぜ規制されるべきか
  1 「雇用不安」の二つの意味
  2 濫用防止と短期雇用の規制
 三 規制の方法をめぐる問題
  1 多様な規制方法
  2 更新回数・期間の規制という方法
  3 締結事由規制の意義
   (1)締結事由規制の必要性と根拠
   (2)「合理性」基準の考え方
   (3)締結規制は経済にとって有害か
 四 改正法の意義・限界と現実的影響
  1 改正法の意義
   (1)極端な濫用の防止
   (2)不合理な労働条件の禁止
  2 改正法では解決しない問題
   (1)短期雇用
   (2)不更新条項の問題
  3 改正法の現実的影響
  4 労働組合の課題
 おわりに

不更新合意と労働契約法一九条――近畿大学事件に関する意見書
 はじめに
 一 問題の所在
 二 不更新条項の解釈の可能性
  1 労契法一九条の構造
  2 不更新条項の位置づけ
 三 私  見
  1 合理的期待への組み込み論の評価
  2 合理性・相当性要件への組み込み論の評価
  3 公序良俗違反論の可能性
  4 労働者の自由な意思論
 結  論

常用的日々雇用労働者と変更解約告知――日本ヒルトン事件に関する意見書
はじめに
 一 原判決の論理と論点の限定
  1 原判決の特徴
  2 原判決の不透明性
  3 検討対象
 二 変更解約告知について
  1 問題の所在
   (1)変更解約告知とは何か
   (2)変更解約告知に対する法の対応方法
  2 ドイツの議論状況
   (1)解雇制限法二条の意義
   (2)変更解約告知の審査対象と社会正当性の判断基準に関する論争
   (3)連邦労働裁判所の原則的立場
   (4)貨金引き下げと付随的労働条件の変更
   (5)ドイツの判例・学説から学ぶもの
  3 日本における変更解約告知の考え方
   (1)留保つき承諾の可能性
   (2)変更解約告知の有効性
 三 原判決の変更解約告知論の問題性
  1 基本的論理の問題性
  2 貨金に関する変更と変更解約告知
 四 常用的日々雇用と変更解約告知
  1 原判決の論理
  2 常用的日々雇用と変更解約告知・留保つき承諾

派遣法改正の基本的視点
 はじめに
 一 派遣法改正をめぐる状況
  1 なぜ「派遣切り」が起こったのか
  2 政治問題化する派遣法改正
 二 直接雇用の原則と労働者派遣
  1 憲法にもとづく直接雇用の原則
  2 間接雇用が許されるための条件
  3 有期雇用の問題性
 三 現行派遣法の問題点 
  1 複雑な法令の仕組み
  2 間接雇用としての労働者派遣
  3 企業運営上の不可欠性?
  4 欠如する労働者保護
 四 派遣法の抜本改正の必要性
  1 雇用とその他のセーフティネット
  2 現行法の活用とその限界
  3 派遣は自由な働き方?
  4 派遣禁止は失業を増やす?
 五 派遣法改正の基本原則
  1 改正にあたっての考え方
  2 基本原則
 おわりに

労働者派遣の法構造
はじめに
 一 労働者派遣と他の三面関係
  1 請負・業務委託と派遣
  2 職業紹介と派遣
  3 出向と派遣
 二 派遣の三面関係と重畳的使用者責任
  1 派遣先と派遣元の関係(労働者派遣契約)
  2 派遣元と労働者の関係(派遣労働契約)
  3 派遣使用関係
  4 三面関係をとらえる基本的視点
 三 安全・環境配慮と災害補償
  1 災害補償と労災保険
  2 安全配慮義務と重畳的な責任
  3 セクシュアル・ハラスメントとパワー・ハラスメント
 四 派遣労働者の非違行為
 五 派遣先の就労拒否と賃金・解雇
  1 問題の所在
  2 他の派遣先のあっせん
  3 解雇
  4 賃金請求権
  5 不法行為にもとづく損害賠償

労働者派遣法と集団的労働関係
はじめに
 一 労働者派遣の基本的構造
 二 派遣労働者の団結権と不当労働行為
  1 団結の諸形態
  2 派遣元企業の不当労働行為
  3 派遣先企業の不当労働行為
 三 団体交渉の相手方と交渉事項
  1 苦情処理と団体交渉
  2 判例・命令における団交の相手方
  3 団交事項
  4 派遣先との労働協約の可能性 
  5 正社員組合の団交権
四 争議行為
  1 争議中の企業への新たな労働者派遣の禁止
  2 派遣労働者の争議行為
  3 派遣先企業の争議行為と派遣労働者の賃金・休業手当

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