次世代シークエンス(NGS)による腫瘍ゲノムや遺伝子発現解析は、分子病態の解明に貢献しており、解析方法の理解と解析結果の解釈がますます重要になっています。解析結果は主にテキスト出力で直感的には分かりにくいため、NGS解析を理解する最良の方法の一つは自分で解析を行うことですが、性能の良いコンピュータの必要性や適切なソフトウェア選定、解析用データの入手といったハードルがあります。そこで本書は、Apple silicon搭載のMac上に解析環境を構築して腫瘍のゲノム変化や遺伝子発現の変化を演習的に解析する手順を示し、必要最小限のUNIXコマンド解説や公開されている参照データの利用方法、NCBIに登録された二次利用可能なNGSデータのダウンロード方法を提示します。さらに、解析で最も重要なのは解析対象の変化に応じたサンプルやライブラリ作製法、解析パッケージの適切な選択であることを強調し、本書では各章で典型的な腫瘍事例を取り上げてNCBI情報に基づいたライブラリ調整を考慮しつつ、必要なパッケージと参照データを段階的に追加して演習を進められるように構成しています。最後に、本書の内容はあくまで演習および研究と教育の参考としてのものであり、実臨床での診断や治療適応の判断には使用できないことはご注意ください。