見えない傷を抱える子供たち。学校に壊される教師たち。教育現場の「生きづらさ」を社会の問題として問い直す──。
いじめ、不登校、トラウマ、教員のメンタル不調。学校で起きるさまざまな「生きづらさ」の背景には、個人の問題では片づけられない社会の仕組みや課題がある。
その実態を見つめ、声にならない声に耳を傾けながら、「何が起きているのか」「何ができるのか」を問いかける。教育関係者だけでなく、今、教育現場で起きていることを伝えるすべての人に開かれた全3巻の教育ノンフィクション。
第3巻となる本書は、現在の教育現場における深刻な問題を取り上げる。それは、「子どもを育てるはずの学校が、時に子どもの脳や心に傷を与えてしまう場になっている」という現実である。
「いじめ」「不登校」「虐待」「発達障害」「トラウマ」など、教育にまつわる多くの課題が複雑に絡み合い、教育の名のもとに行われる“善意の指導”が、実は子どもにとって大きなストレスや傷になっているケースも少なくない。こうした教育の「マルトリートメント(不適切な関わり)」を可視化し、それを乗り越える新たな指針を提案する。
現代の教育課題の最前線で実践と提言を続ける4名の専門家との対談を通して、子どもたちの「脳を傷つけない教育」を実現するために必要な理解と、学校現場で実践できる具体的な対応を探る。
川上康則氏は特別支援教育と教室マルトリートメント、杉山登志郎氏は発達性トラウマと神経生理学的アプローチ、三谷はるよ氏はACEs(逆境的小児体験)と児童虐待、小嶋悠紀氏は海外と日本の不登校支援をテーマに、それぞれの専門的知見を提示。
各対談では、教育現場で使えるチェックリストやコーピングスキル、対応マニュアルなど、実践的な資料も紹介。教師に求められる視点と実践のあり方を具体的に掘り下げ、子どもを傷つけない教育を「文化」として教育現場に根づかせる教育運動を提案する。