東日本大震災と箱庭療法 こころの糸をつむぐ

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商品説明
 この本は、2011年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の原発事故を経験し、長年居住していた飯舘村から相馬市に避難して心理相談室グリーンフィールドを立ち上げた臨床心理士の7年(作品制作数40回)の箱庭作品の全貌である。被災した人々をサポートしながらも、自らが被災体験のトラウマを抱えて葛藤している状況でさまざまなトラウマ体験と向き合い、箱庭の作品を通して綴ったこころの物語である。ふたりの臨床心理士がスーパーヴァイザーの役割を担い、受け止め支え続けた。文中のコメントは、スーパーヴァイザーの渡部純夫が箱庭の物語性に焦点を当ててまとめた。
 箱庭療法はスイスのカルフ氏がユング心理学を応用しながら発展させた心理療法である。57cm×72cm×7cmの木箱に砂を入れ、さまざまなミニュチアを並べて、自由に作品を制作することができるものである。守られた箱庭の空間に、抑えられていた自分のこころの動きが展開することになる。そこでは、形を持たないイメージの世界がミニュチアを通して象徴性を帯びながら姿を現してくる。物語が紡ぎだされていくことになるのである。箱庭療法は、箱庭の持つ一種独特な力とそれを活用しながら母性的に包む援助者との深いつながりの中で、傷ついたこころがゆっくり癒されていく心理療法である。40回の作品を見てどんな物語を浮かび上がらせるかは、一人ひとりの自由である。自分の傷つきやすいこころと日々直面しながら生きている人たちにとって、この本が自分の生きざまの物語の一端を支えてくれたらうれしい。12年という年月を重ねても、こころに遺された傷は消えるものではない。できることなら、その傷を抱え続けながらも、誰かと繋がり、誰かと明日を夢見ながら、時には過去を振り返りながらでも、生きている意味を見つけ出してくれることを切に願うものである。(渡部純夫)            
 東日本大震災と復興に際しては、多くの方々からご支援やご協力に励まされ、勇気づけられてきた。この本は東日本大震災後、箱庭を作り、それを手掛かりに思索と対話を重ねてきた記録である。震災後のこころの動きや箱庭療法について触れる機会になるのではと思い、書籍としてまとめることとした。東日本大震災後十数年が経ったが、コロナ禍などを経て世界はさらに変化している。箱庭を通じて見える世界とコンタクトしてもらえれば幸いである。そこに投影されているのは、特異な被災体験ばかりではなく、日々の暮らしの中にある些細な積み重ねでもある。予測できない世の中と不可思議なこころとの対話を始めてみませんか。(下田章子)
 
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