遊園地という磁場が生み出した
世紀転換期のアメリカ文学
コニーアイランド、シカゴ万博、そして街灯や路面電車、集合住宅、摩天楼などは、急激に発展した産業都市に住む人間に何をもたらしたのか?
クレイン『街の女マギー』発表の1893年から、モダニズム文学の成熟を印象づけるフィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』発表の1925年までを「遊園地の時代」と捉え、産業都市に生きる人間を規定する文化/環境/身体の相互作用を透徹する。
【目次】
はじめに:二〇世紀転換期の遊園地
序 章 遊園地のモード:マリエッタ・ホリー『サマンサ、コニーアイランドとサウザンド・アイランズへ行く』
『サマンサ』と遊園地の時代
遊園地のモード① 「文化」都市生活への娯楽の浸透
遊園地のモード② 「環境」有機体としてのメトロポリス
遊園地のモード③ 「身体」ドタバタとセンセーショナリズム
本書のキーワードと構成モダニティとリズム
第一章 街灯とキャラクター :T・S・エリオット「J・アルフレッド・プルーフロックの恋歌」
ガス灯と電灯
漫画的な身体
映画的な空間
遊園地的な都市
道化というキャラクター
第二章 乗り物とプロット:シオドア・ドライサー『シスター・キャリー』
馬車・鉄道・電車
機械装置①ロッキング・チェアー
機械装置②列車、馬車、エレベーター
機械装置③観覧車、ローラーコースター
機械装置④劇場、都市
機械装置⑤自転車
第三章 集合住宅とオーディエンス:スティーヴン・クレイン『街の女マギー』
クレイン、行楽地、見ること/見られること
『街の女マギー』と演劇性
演劇的な振る舞い「見られること」への呪縛/空虚な道徳
テネメントのオーディエンス建築の特殊性
視線の地獄への抵抗マギーとジミーの「降板」
『街の女マギー』という小説のオーディエンス
第四章 高層ビルとスタイル:カール・サンドバーグ「摩天楼」
摩天楼と怪物
サリヴァンとサンドバーグ
サンドバーグの「摩天楼」流動する有機体
サリヴァンとサンドバーグの「環境」リズムとスタイル
第五章 遊園地とナラティヴ:スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』
ラーマン版『ギャツビー』と強調される遊園地
ヴォードヴィルから遊園地へ大衆文化を模倣する『ギャツビー』
「家」=パヴィリオン
「車」=アトラクション
スペクタクルとしての遊園地と戦争
終 章 遊園地のリズム:W・E・B・デュボイス「プリンセス・スティール」
「プリンセス・スティール」とデュボイスのリズム
リズムの感取主体・反復・ズレ
都市の音楽とリズム
遊園地の愉しみ