消えゆく言葉に残された「いにしへのいぶき」
戦争と米軍統治下の時代をはさんで半世紀にわたり、奄美琉球の方言を集めて古語と対照し、わが国の民俗文化研究に貢献した茂野幽考。本書は幽考が残した膨大なカードを元に、息子が2007年方言研究者と奄美方言に興味を持つ人向けにオンデマンド方式で出版したものの再版である。方言の消滅が危惧される現在、この本の出版は大きな意義を持つ。
戦後、沖縄と奄美の島々は米軍の統治下に入り、日本本土と切り離されました。研究対象地に足を踏み入れることの出来ない父は、図書館の蔵書を基に「奄美方言」と「奄美民謡」の研究を続けていたのです。カードを整理していて、父が出版を考えていたことが分かりましたので、私の手で実現しようと考えました。(本書「はじめに」より)