推薦のことば(石川捷治)
はじめに:問題の在り処
・民族の解放と伝統の復権 ・「ユダヤ人問題」:宗教から民族へ ・本書が取り組む諸問題と執筆の動機 ・クリスチャン・シオニズムの問題・本書は誰のために何のために書かれたか ・日常的希望と根源的希望
第1 章 パレスチナにおけるイスラエル問題への関門:民族全体に及んだ虐待の傷跡
・ふたりのパレスチナ人との出会い ・インド建国の父ガンジーの反シオニズム ・反シオニスト運動への連帯
第2 章 近代の空白領域:ナショナリズムについて
・ユダヤ人解放令とヨーロッパ社会 ・ユダヤ人解放令 ・近代の空白領域:ナショナリズム ・バーリンのナショナリズムの定義 ・イスラエルが嵌(は)まった罠:「犠牲者意識ナショナリズム」
第3 章 アブラハム/イサク/イシュマエルとは誰か
・「アブラハム」とは何者か ・創世記のアブラハム伝承 ・アブラハムとその子イシュマエル ・アブラハムに与えられた「約束の地」
第4 章 古代イスラエルの伝承と歴史
・創世記の歴史的背景としてのシュメール文明 ・用語の整理(史実伝承歴史) ・族長アブラハムとその出自 ・イスラエル民族の歴史的起源・モーゼと出エジプト ・アグノンのノーベル賞受賞スピーチ
第5 章 シオニズムの物語とその思想
・ディアスポラという生き方 ・ディアスポラ思想の源泉 ・「追放なき離散」と「郷土への再結集」 ・歴史学と宗教的伝承 ・アグノンのノーベル賞受賞スピーチ ・アーサー・ケストラー:ナチズムの人種主義を克服するために ・「追放と離散と帰還」:共同想像はいかにして成り立つのか ・19 世紀以来のシオニスト・ユダヤ人のパレスチナ入植の論拠
第6 章 イスラエルの「建国宣言」の批判的考察
・「イスラエル国建国宣言」 ・なぜ「シオニズム〔共和〕国」としなかっ
たのか ・「イスラエル国建国宣言」の本文と批評
第7 章 シオニズムの源流:近代クリスチャン・シオニズム
・「ヨハネの黙示録」とは何か ・ディアスポラ(離散の民)としてのユダヤ人 ・17 世紀イギリスの時代背景 ・「千年王国」運動の社会的衝撃 ・清教徒の聖書学者= トーマス・ブライトマン ・「ヨハネの黙示録」20 章:「千年」とは ・ユダヤ人の「郷土への帰還」は「千年王国」の始まりのしるし ・ユダヤ民族国家の復興のしるしとしての千年王国論
第8 章 近代シオニズムを創作した「偉人」たち
・モーゼス・ヘス:シオニズムの先駆者 ・ヘルツル:「ユダヤ人国家の父」 ・ゼエヴ・ジョボティンスキー「鉄の壁」の存在理由
第9 章 シオニズムとは何か
・20 世紀初頭の社会思潮とユダヤ人の若者たち ・ユダヤ人をユダヤ人たらしめているもの ・ユダヤ教徒からユダヤ民族主義者(シオニスト)へ ・シオニズムの五つの性質 ・シオニズムの六つの形態 ・現代クリスチャン・シオニズム:トーマス・アイスの場合
第10 章 ナチス・ドイツに対するシオニスト諸機関の加担
・ヘンリー・モントールの「選別」 ・シオニストとナチスの共謀 ・ナチスとユダヤ機関との取引 ・初代首相ベン・グリオンの表と裏 ・なぜシオニストはナチスに操られナチスと協働したのか:その思想的な類似関係
結びにかえて「犠牲者意識ナショナリズム」の罠
・「進歩」を疑わなかった19 世紀知識人たち ・「犠牲者意識ナショナリズム」 ・相互に異なった記憶の闘争から記憶の連帯へ ・イスラエルの犠牲者意識ナショナリズム ・国土(領土)とユダヤ人の律法 ・ナチズムとシオニズムとの鏡映関係 ・ドイツ純血主義の焼き直しとしてのシオニズム ・「自然は民族を創らず、ただ個々の個体(人間)を創るのみ」
あとがき
投稿:ホルスト・クラインシュミット:「言葉を越えた連帯」
資料:全米長老教会(PCUSA)「キリスト教シオニズムへの加担の告白について」