本書は,中央アジアに位置するウズベキスタン共和国の国家語であるウズベク語の日本語対訳辞典です.見出し語総数は13,000で,綴り字は,ウズベキスタンが旧ソ連から独立した後に,従来のキリル文字からの転換を目指して新たに導入した,ラテン文字正書法に基づいています.本書の見出し語の選択には,English-Uzbek, zbekEnglish Dictionary(2007)の,Uzbek-English の部を中核に据えました.その理由は,同書が前書きで述べる通り,高等教育機関の学生から翻訳家,外国企業の職員等を対象とした高度な学習辞典であり,旅行やビジネスはもちろんのこと,新聞や一般書籍,インターネット等を読みこなすのにも概ね足る語彙量であったこと.そして,特に同書が,単なる対訳語彙集ではなく,何よりもウズベク語学習者にとって有益な,語の用法や語感の涵養に必要となる用例を豊富に掲載した,好適な辞典であると考えたからです.
また,本書の内容記述に当たっては,語彙情報の面からは,Ўзбек ТилинингИзоҳли Луғати I, II(1981)と,同名1-5(2006-8)等を参照しつつ,大幅な拡充を図りました.具体的には,意味分類の項目を増補し,支配格の明示や不規則変化語を特記するなど,文法情報を充実させました.さらに,ウズベク語では,語彙の由来は,発音を再現する上で,欠かせない重要な情報です.したがって,借用系統や語構成にもこだわりをもって記述しました.中でも,綴り字がウズベク語化していないロシア語系借用語は,ロシア語正書法に則って発音されます.アクセントも継承されるため,見出し語にはアクセントも付しました.このように,本書は,参照文献の長所を可能な限り反映させ,類書には例を見ない入念な記述が特徴となっています.