はじめに
第I部 フランス中世史学における諸侯
第1章 フランス中世史学における諸侯
1)19世紀の研究史―「カロリング的秩序の破壊者」としての諸侯―
2)20世紀前半―実証的研究の進展―
3)20世紀半ば―転機―
4)20世紀後半―「カロリング的秩序の残滓」としての諸侯―
5)20世紀末以後―制度史的研究からの脱却―
6)本書の研究手法
第II部 「歴史」を編む諸侯権力―「記憶」に基づく共同体創出の試み―
第2章 アンジュー伯家の事例、および予備的考察
1)アンジュー伯家とは
2)アンジュー伯家の史料
3)初期の叙述の構造―戦争の連続として語られる「歴史」―
4)叙述の変遷―イングランド王としての利害の流入と不変の構造―
5)テクストの二重性―誰が「歴史」を読む/聞くのか―
第3章 ノルマンディー公家の事例、および両家史料の総合的考察
1)ノルマンディー公家とは
2)ノルマンディー公家の史料
3)初期の叙述の構造―対峙するデーン世界とフランキア世界―
4)叙述の変遷―排他的な「ノルマン人」意識の表出―
5)「記憶」の収集(両家史料の総合的考察1)―誰が「記憶」を語るのか―
6)「記憶」の編集(両家史料の総合的考察2)―「記憶」に基づく共同体創出の試み―
第III部 “聖なるもの”と諸侯―聖性をめぐる諸侯権力の戦略―
第4章 諸侯にまつわる奇跡譚―その形成と流布について―
1)ナント伯家と『ナント年代記』
2)ナント伯アラン・バルブトルトの奇跡譚
3)記憶を媒介するもの―教会施設に組み込まれたアランの記憶―
4)奇跡を語り継ぐ者たち―アンジュー、ノルマンディーの事例―
5)奇跡を伝えるモニュメント―諸侯権力による教会へのパトロネジと奇跡譚の形成―
第5章 “聖なる諸侯”の創出―諸侯に投影された支配者像の考察―
1)「祭司」としての諸侯―7王国時代の君主観念との共通性―
2)「殉教者」としての諸侯―アングロ=サクソン的聖王像の導入―
3)敬虔なる諸侯―教会改革的な理想像の受容―
4)諸侯権力によるキリスト教的正統性の主張―北海~ドーバー海峡周辺世界に臨んで―
結論 ―「自らが何者であるか」を知らしめる権力―
おわりに
註/付録 各家系図 、城主家系の婚姻関係/参考文献/索引