法益保護によって刑法は正当化できるか?

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本書においてヤコブスは、法益保護によって刑法を正当化しようとする試みをその歴史背景をも含めて批判し、環境犯罪、動物保護、「アウシュヴィッツの嘘」、信仰侮辱、パターナリズム(安全ベルト・薬物犯罪・嘱託殺)等の刑法的規範の正当性に関して代替モデルを提示する。社会損害論に関する論文も付録として収録した。

 本書において日本語に翻訳された二本の論文は,互いに完全に整合したも
のであるが,異なった目的のために執筆されており,それゆえ異なった観点
が強調されている。社会損害に関する論文は,いくつかのシステム論的に演
繹されたテーゼに特定的に結び付けられたものであるのに対して,法益保護批
判の講演は,そのように特定化したものではなく,むしろ議論の全体に接続し
たものである。ドイツ語の読める読者は,この法益保護に関する講演の内容
をさらに要約した形で執筆した論文である「法と財─刑法的概念形成の試み」
(Recht und Gut Versuch einer strafrechtlichen Begriffsbildung, in: Freund
u. a. (Hrsg.), Grundlagen der Dogmatik des gesamten Strafrechtssystems.
Festschrift fur Wolfgang Frisch, 2013, S. 81 ff.)を参照されたい。
 法益保護論の擁護者の多くが規範保護へと回心すること(Konversion)を
私は期待していないが,おそらく─あえて論争的に定式化すれば─どちらも
「身体の不可侵性」という法益に関するものである,病院の法的な(!)組織
を身体傷害への刑法的リアクションから区別するものは何かということが,次
第に意識されるようになることを期待している。より真摯には,規範妥当,法
益および憲法の問題を分離し,それに加えて既存の財とこれから作出されるべ
き財を区別することへの合意が得られないだろうか?
(本書より引用)
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