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発売日:2025/11/14
出版社:
さきたま出版会
ISBN:9784878914935
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三富新田風土記 耕田林園から世界農業遺産へ
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犬井正
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埼玉県武蔵野地域は今でも、年単位の時をかけて作った落ち葉堆肥を用いて、露地野菜の栽培で持続的に高い収益をあげている。手間と時間がかかるが土と土壌微生物を大切にする持続的農法として、今も後継者に脈々と受け継がれている。世界農業遺産に認定されたからといって、武蔵野地域の落ち葉堆肥農法を、「絶滅危惧...
商品説明
埼玉県武蔵野地域は今でも、年単位の時をかけて作った落ち葉堆肥を用いて、露地野菜の栽培で持続的に高い収益をあげている。手間と時間がかかるが土と土壌微生物を大切にする持続的農法として、今も後継者に脈々と受け継がれている。
世界農業遺産に認定されたからといって、武蔵野地域の落ち葉堆肥農法を、「絶滅危惧農法」としてとどめ置くのではなく、その特徴と有効性を世界中にアピールするまたとない機会とすべきだ。そして、今後もこの森林と共存する農法を実践し続けることによって、土壌侵食や砂漠化、地球温暖化などによって引き起こされている世界の食糧問題や環境問題を乗り越えられる可能性があることを、世界に向けて大いに発信していくべきである。
ーあとがきより
目次
第1章 武蔵野の自然環境と新田開発前史1 堀兼の井、武蔵野の迯水、不老川2 耕土を吹き飛ばす「からっ風」3 黒ボク土の土壌改良4 歌枕が示す萱原のイメージ5 入会秣場利用と新田開発とのせめぎ合い第2章 江戸の下肥と地廻り経済圏1 口の恩は尻で返す2 下肥の等級と肥効3 「葛西三万石米どころ」を...
目次
第1章 武蔵野の自然環境と新田開発前史
1 堀兼の井、武蔵野の迯水、不老川
2 耕土を吹き飛ばす「からっ風」
3 黒ボク土の土壌改良
4 歌枕が示す萱原のイメージ
5 入会秣場利用と新田開発とのせめぎ合い
第2章 江戸の下肥と地廻り経済圏
1 口の恩は尻で返す
2 下肥の等級と肥効
3 「葛西三万石米どころ」を支えた江戸の下肥
4 江戸の下肥を運ぶ葛西船
5 舟運の発達による「江戸下肥圏」の拡大
6 新河岸川整備による川越周辺への下肥の導入
第3章 『江戸名所図会』と「東都近郊図」から武蔵野の新田開発を読み解く
1 「山川掟」から新田開発の再奨励へ
2 野火止用水の敷設と短冊型地割の原型
3 萱原の武蔵野から耕田林園へ
4 耕田林園はアグロフォレストリー
5 「東都近郊図」に描かれた武蔵野
6 独歩の記した明治中頃の武蔵野
7 三富新田の短冊型地割
8 ヤマの移ろいと農事暦
第4章 名産・富のサツマイモ
1 救荒作物から「畑方第一の作品」へ
2 江戸の空前の焼き芋ブーム
3 冬の風物詩クズ掃き
4 地力を育む「ツクテ」の力
5 土と落ち葉堆肥と微生物
6 サツマイモのウイルス障害
7 堆肥不使用による農と食と環境への影響
第5章 平地林の根圏効果と落ち葉堆肥
1 畑作と平地林
2 萌芽更新による平地林の再生
3 農用林とは
4 平地林、雑木林、里山
5 腐食連鎖と根圏の多様性
6 林床下の栄養分の循環
7 落ち葉堆肥農法による生物多様性の保持
8 平地林の減少がもたらすものは
第6章 世界農業遺産になった三富の落ち葉堆肥農法
1 FAO―緑の革命から世界農業遺産へ
2 落ち葉堆肥農法の現代的意義
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