電気けいれん療法

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電気けいれん療法
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なぜ私はこの本を改訂したのか?
電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)は重症の精神障害の患者に対する有効で安全な治療法である。しかし,この治療法が危険であると考える人は多く,精神障害が恐れられるようにECTも恐れられている。ECTは"精神医学で最も問題となる治療法"とよく言われる。この問題とは,その有効性や安全性についてではなく(これらはすでにその有用性が証明されている),ECTは脳に損傷を与え人柄や性格を変えてしまうという考えについてである。この間違った考えには多くのルーツがある。それらはECTが導入された当初にみられた痛みと合併症,インスリン昏睡療法やロボトミーという脳に侵襲が強く効果のない治療との混同(これらの2つの治療はECTと同じ時期に開発導入されたが,かなり前より中止されている),精神療法家との間での熾烈な思想上及び経済上の争いである。
ECTは75年前に医療で使われて以来,大きな変化を遂げた。今日では,骨折が起こることも記憶が失われることもなく,映画で描かれていた恐怖の治療ではなくなっている。酸素化と筋弛緩薬を用いた麻酔法により,ECTはより安全になった。ECTのリスクは向精神薬を多剤併用するより低い。実際,高齢の患者,身体合併症を持つ患者,妊娠中の患者でも,ECTは他の精神科の治療よりも安全である。
向精神薬と心理社会的支持療法は精神障害の患者への初期治療であるが,治療効果が不十分な場合がよくある。これらの治療では,精神障害をうまく軽快させられない場合も,迅速な効果に欠ける場合も,危険な副作用を引き起こす場合もある。そのような場合には,きっとECTがふさわしい治療となるに違いない。
主治医がECTを勧めると,家族と患者の決まって尋ねることは「この古い治療法がまだ使われているのですか?」「本当に安全なのですか?」「脳に損傷を与える可能性はありますか?」「記憶障害は起こりますか?」である。通常ECTが推奨される場合は,患者は重症のうつ病が何週間も続き,以前効果がみられていた薬でも改善しなくなって,徐々に悪化している状況である。医師が勧める薬はもうなくなっている場合も多い。
(序文より抜粋)
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