これはアートなのか?
世界的な美術ファンの拡大は、いまや“趨勢”である。
アートはエンタテイメント、教育、社会活動、医療や福祉にまで越境し、他の分野と結びつきを深めている。
しかし、〈芸術/アート〉とはなにか?「そもそもアートとは何なのか」という素朴で根本的な疑問や問いに対して、われわれは解を得ているだろうか?
社会とアートの関係の変化を共進化の過程として捉え「いかなる条件の下でモノ/行為は芸術作品になり、作り手はアーティストになるのか」という「転換の過程」に注目して、現代社会の文化現象を artification の視点で読み解く。特に文化芸術のもたらす(広義の)利益とそこに関わる利害関係者に注目し「転換の過程」すなわち「芸術の生成」の社会的論理を明らかにすることで、芸術にとっての社会、社会にとっての芸術の意味を探り、両者の望ましい関係のあり方とその未来の姿を展望する。