里山の植物生態学

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今では生態学やエコロジーという言葉は当たり前のように使われていますが、このような用語や概念がまだ一般に定着していなかった時代から、生態学に関して先進的で粘り強い活動を行ってきた研究者たちがいることを忘れてはなりません。本書の著者のひとりである林は、2003年『植物生態学基礎と応用』(古今書院)を著し、長く植物生態学研究をリードしてきました。
「里山」というと自然とのふれあいや癒しの場といったイメージだけが先行しがちな側面がありますが、身近な存在であるだけに、里山の実体をよりいっそう生態学的に観察し理解する必要があります。例えばどんな植物が群落を構成し、そのなかの何が優占し、さらにそれがどのように遷移していくのか…。また数量的な把握も大切です。単位面積当たりどの位の量の木材があり、1年にどの位成長するのか…草本と違って、成長の遅い樹木の成長はなかなかつかめません。著者らはアカマツ、コナラ、ミズナラなど里山に生育している樹種の直径を測定し続け、最も長いものでは31年に及びます。こうして蓄積されたデータから地上部現存量の年間増加量を計算し、里山にどの位の材木があるかを数量的にとらえます。数量化することの利点は、樹木は光合成によって二酸化炭素を蓄積しますから、年間、樹木がどの位の量の二酸化炭素を吸収するかが試算できることです。近年、地球規模で努力が行われている二酸化炭素の削減に、里山がどのように貢献できるのかが明らかになるのです。
前書からおよそ20年、より具体的な実践方法について実験・研究を重ねてきた著者らによる、里山林の保護、保全、利用に関する最新の知見を集めた一冊です。SDGsが大きな話題になっているいま、里山に興味のある方、環境問題に関心のある方におすすめします。
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