結ぶ力は、産む力でもある———「ムスビ」とは、ムス=産とヒ= 霊の二つが重なった言葉、何かが生まれ出る瞬間の力、さらには、人と人、他界(祖先)と現世を繋ぐこと、「結ぶ」はたらきを指す。
本書では、「ムスビ」を手がかりに結縄(縄の結び)や書契(文字や割符)の時代へと遡り、文字の淵源を巡る神話の解体と書の原初的型態の復元を試みる。
筆の習俗的・宗教的意味の考察、類感呪術としての墨と水の意味への論究を踏まえ、文献としての書論の誕生へと至る過程を復元し、書論の連続性と変革性を活写。
加えて、日本語の感性を炙り出し、日本の書の特質についても言及する。
そして総括として、書史を「文」と「工」と二元的にとりまとめ、弁証法をもって書史全体を一望。
「書の根源」に迫り、定説を塗り替える理論を提示する。