『法華経』は古来、東アジアの仏教世界において、広範囲に信仰され、社会的・文化的にも大きな影響を与え続けた。この法華思想の系譜にあって特に著名な注釈書、思想書を著し、後世に甚大な影響を与えたのが中国の智顗、湛然、日本の最澄であり、この法華思想の系譜は、後世の日蓮へと引き継がれ、日蓮教学の基礎理論を提供する重要な仏教文献となるのである。『法華文句』(妙法蓮華経文句)全十巻は智顗の講説を弟子の灌頂が書物としたもので、『法華玄義』と一組となる。『法華経』の随文釈義の注釈書として、古来、長く読み継がれ、日蓮教学の基礎理論を提供する重要な仏教文献である。
本書は、この『法華文句』を現代語訳に訳す本邦初の試みである。巻第一から巻第五までを収めた上巻に続き、下巻には巻第六から巻第十までを収録し、本書で『法華文句』の現代語訳は完結となる。巻末に解説を付す。