各種の疾病に基づく中枢神経障害のうち、脳卒中による片麻痺は頻度が多く、中でも高次脳機能障害は自動車運転の再開に大きな問題となる。障害者自身が再び運転したいと希望する場合、心身機能の正しい評価のもとに運転再開可能を決定し、障害者の安全な自動車生活を継続的に支援することはわれわれ医療人の重要な使命といえる。ゆえに、障害と運転に興味を持って学び、障害の評価と運転の可否についての正しい知識と対応を身につけ、どのようにすれば障害者の希望が叶えられるかを考えることはすべての医療人に必要なことである。
本書では、障害者運転の現状から始まり、脳卒中・脳外傷の疫学、交通事故の実像、運転に求められる身体機能、薬剤と自動車運転、運転再開に際して求められる法的知識、自動車改造の知識、ドライビングシミュレーターによる運転評価、実際の病院における運転再開の取り組みなど自動車運転再開について、医療人にとっての必要な知識がすべて網羅されている。
本書は長年にわたって診療と実務に携わり、豊富な研究をされてきた先生方に執筆をお願いした。日々障害者と真摯に対応しておられる皆様の座右の書として実務の一助になる一冊である。