正岡子規論日本文学の原像(日本近代文学の言語像Ⅰ)

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有名だが今ひとつ子規文学に焦点が合わないのは子規をずっと専門俳人として捉え続けてきたからである。本書は子規が手がけた俳句、短歌、散文(写生文小説)すべてを有機的に分析しその文学の全貌を明らかにしている。「第一部 正岡子規論」は「Ⅰ 序論子規文学の射程(パースペクティブ)」「Ⅱ 子規小伝」「Ⅲ 俳句革新俳句の原理」「Ⅳ 短歌革新短歌の原理」「Ⅴ 散文革新写生文と私小説」の構成。子規文学を批評するだけでなく俳句・短歌の原理を解き明かしている。また「Ⅴ 散文革新」では短歌・俳句文学が維新以降の現代小説の底流になっていることが明らかにされている。「第二部 子規派作家論」は「Ⅰ 高濱虚子論有季定型は正しい」「Ⅱ 河東碧梧桐論新傾向俳句から自由律俳句へ」「Ⅲ 伊藤左千夫論写生短歌から自我意識短歌へ」「Ⅳ 長塚節論生粋の写生作家」「Ⅴ 夏目漱石論世界を遠くから眺めるということ」の構成。短命だった子規文学のヴィジョンが、子規派作家たちによってその後どのように完成されていったのかが論じられている。「附録 俳句文学の原理正岡子規から安井浩司まで」は「突飛なようだが俳句とイスラーム教は似ているところがある。イスラーム教では唯一神アッラーが絶対不可侵で俳句では「五七五に季語」が絶対である」で始まる。単なる子規論俳句論ではなく日本独自の〝非自我意識文学〟である俳句が子規から現代前衛俳人の安井浩司にまで継承されていることを解き明かし、21世紀俳句の姿をも示唆する画期的評論である。
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