石鎚山系の山間や麓で、多くの集落が過疎化の波にもまれながらも、人々が豊かな自然の中でたくましく静かに暮らしている。そして何百年も前から続く祭りなどの伝統行事を、村の人たちが維持し続けている所も多い。人が住まなくなった集落跡には、文字が刻まれた古い時代の石碑や、地蔵、石灯籠などがたくさん残っている。それらは先人たちが古くから長年にわたり少しずつ造り上げてきた民俗遺産である。そしてそれらの多くが人の目にふれることなく忘れられていき、土中に埋もれようとしている。
私はそうしたものにもカメラを向け、撮り続けてきた。石鎚の山間に住む人の生活風景や自然風景、山間で見つけた有形無形の民俗遺産などを記録しようと、写真を撮り始めてかれこれ一〇年程になる。その間に押したシャッターの回数は五万回を超えた。これからも私のライフワークとして元気でいる限り撮り続けていくつもりだが、ここらで一旦区切りをつけて、石鎚山系の記録写真を整理して残すのが、この地域の近くに住む私の役目ではないだろうかと思い、写真集を作ることにした。 ーあとがきよりー