vanitas No. 009

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商品説明
特集=なぜつくるのか

ファッションに関わる人々は「次のシーズンに何をつくるのか」という問いとつねに向き合っている。しかし、この問いは次のシーズンにはやることの追求にとどまらない。人間とその内面や、人間と人間、人間と技術、人間と環境、人間と未来など、多様な要素の連関や応答のなかで「なぜつくるのか」をとらえることは近年、ますます重要となっている。なぜなら、ファッションとは個人や社会、ひいては地球のあり方と連関し応答する文化的な営みだからだ。

デザインではDEI(多様性・公平性・包括性)、持続可能性、産業生態系、人間=機械複合系、多元世界といった考え方が注目されているが、ことファッションではどうだろうか。近代的生活の実現のための単元的な開発や成長に根ざした産業としてのファッションに嫌疑がかけられるなかで、つくる行為はいかにして肯定されるのか。消費社会においてつくる能力や材料、あるいは市場経済そのものから周縁化された人々の存在をいかにして包摂するのか。クリエイティブであることを強要し、自己実現のための犠牲を正当化するかのような社会において、つくる主体の尊厳はいかにして担保されるのか。技術革新による既存の問題解決や、新たな意味生成を目指すためのつくる対象は、いかにして受容されるのか。例を挙げればきりがないが、このような「How Might We(いかにして)」型の問いと答えの根底にあるのが、「なぜつくるのか」という根源的な問いであろう。

このような考えのもと、『vanitas』No. 009では、多様な側面からファッションにおける「なぜつくるのか」に光を当ててみた。SOLITの田中美咲氏、カバン作家のカガリユウスケ氏、彫刻家/評論家の小田原のどか氏、技術哲学研究者の七沢智樹氏+原島大輔氏にインタビューをおこない、ファッションにおける「つくること」を捉え直すための多様な視点を提示していただいた。また、安齋詩歩子氏、小田昇平氏、辻川暁氏、難波優輝氏、長谷川祐輔氏による公募論文は、ケアと手芸、デジタルファッションに加え、香りと雰囲気、Supremeやwrittenafterwardsの分析といったテーマによるラインアップとなった。公募エッセイでは、横田檀氏と古賀涼太氏にsuzusanとPaul Smithに関するテキストを投稿していただいた。また、スタジオモメンの農家/デザイナー村田裕樹氏には、都市を離れ、農家になりながらものづくりの源流をとだることに関するエッセイを寄せていただいた。これまでの号と同様、公募による論文やエッセイは必ずしも特集テーマと直接的に合致するものばかりではないが、全体としてテーマに呼応する視点が散りばめられているはずである。
(introductionより)
目次
foreword
introduction

interview
田中美咲(SOLIT)/カガリユウスケ/小田原のどか/七沢智樹・原島大輔

paper
安齋詩歩子「ケアの共同体としてのファッション――手芸コミュニティからファッションワークショップへ」
小田昇平「A Love (for) Supreme――Supremeの主題によるスケートボーディング・ブランドのファッション戦術」
辻川暁「デジタルファッションの身体性――重みがなく触れない衣服を着るとはいかなる行為なのか」
難波優輝「香りといたずら――芳香的行為論と問いの雰囲気」
長谷川祐輔「モードとコンテンポラリー――山縣良和の『その後に書かれた』ファッションについて」

critical essay
村田裕樹「ものづくりの源流をたどって、農家になった」
古賀涼太「マルチストライプはなぜポール・スミス的なのか」
横田檀「suzusanのクリエイションにみる『ディオニュソス的なもの』としてのファッション」

closing discussion
編集部座談会

afterwords
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