このたびふげん社は、伊藤時男『FRAGMENT』を刊行いたします。
伊藤時男は、1956年東京生まれの写真家です。1977年に東京工芸大学短大学部写真技術科を卒業後、奈良原一高写真事務所に助手として勤務。1981年に独立し、1985年30歳を目前にニューヨークに移り住みます。
本作は、ニューヨーク滞在中の1985年から1995年の10年間、伊藤が路上で出会った光景の「断片」をモノクローム・フィルムで集積したものです。
工事中のカラーコーンと規制線が形作る幾何学模様、ショーウィンドーから覗くテーブルクロスとグラス、マンホールと犬のリフレイン、打ち捨てられた椅子と光と影のコントラスト、そして時折登場する人物たちも同じく路上に現れる事物の一つとして記録されます。
全てが流動的に動き続けるニューヨークという街を舞台に、路上における人と事物の一瞬の交わりと光と影が織りなす美しく奇妙な光景を、異邦人である伊藤の目がとらえ、端正なモノクロームで表現しました。
ロバート・フランクとの邂逅のエピソードを綴ったエッセイ、写真評論家・飯沢耕太郎氏による寄稿「Fragmentの行方」を収録しています。