文学と地域 ー自他が尊重される<場>を問う

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文学と地域 ー自他が尊重される<場>を問う

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本書は、文学作品の舞台となっている地域や、作品が生み出される〈場〉に着目しつつ、一九三〇年代以降、現代にかけて著された小説や戯曲、短歌やラジオドラマの精読を試みたものである。第一部では、久保栄や太宰治、金達寿、津島佑子、村上春樹の作品を取り上げ、過酷な労働環境や戦時下における郷土と植民地、ジェンダー非対称な社会構造において浮かび上がる、自己と他者をともに尊重することの(不)可能性について追究した。同様の観点から第二部では、鳥取にゆかりのある書き手(杉原一司や岡本愛彦、小谷治子、徳永進、松本薫)の著した作品を読み解いた。国家や地域、家族といった、個人を内包する共同体を単位として利害を追求することは、避けがたく人権侵害を生じさせる。それらを即座に解体させることが不可能である以上、共同体に内在/外在する暴力に向き合う個々人の相貌を批評的に描き出す文学作品は、日々新たに読み直されるべきであろう。
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