自然科学としての道徳哲学をめざして

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 83歳の書家・青山珪香さんに託されていた亡父・武重靉仙氏の哲学遺稿をめぐる話は「ファミリー・ヒストリー」でした。
 靉仙は、戦前の反軍ジャーナリスト・桐生悠々氏(「信濃毎日」主幹)に師事し、在学時から健筆をふるっていました。 桐生悠々氏には、媒酌人を務めてもらい、長女・珪香の本名・悠紀子には悠の一字を借りています。
 靉仙は、戦争に向かう国情を悲憤慷慨しながら、産業組合に籍を得て、道徳哲学の論考を認めていました。しかし応召され、昭和19年フィリピン沖で戦死したため、手書きの原稿が妻の許に残り、その妻も亡くなり、娘の珪香さんに託されていた遺稿が、80年ぶりに陽の目をみることになりました。
 戦前の日本にこのような論考を重ねていた在野の哲学徒がいたことは、一つの驚きであり、また希望でもあり、氏の早過ぎる死は、戦争の無念さを何よりも証しています。
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