北島敬三の初期から現在に至るまでの仕事を総覧する回顧展、長野県立美術館写真展『借りた場所、借りた時間』カタログ。
今日の日本写真界において高い評価を受ける北島敬三。長野県須坂市に生まれた北島は「WORKSHOP 写真学校」への参加をきっかけに本格的に写真を始める。森山大道らと自主運営ギャラリー「イメージショップCAMP」を立ち上げ、初個展「BC ストリート・オキナワ」や、「写真特急便 東京」(イメージショップCAMP、1979年)、「写真特急便 沖縄」(同、1980年)など精力的に作品を発表。「写真特急便 東京」で日本写真協会新人賞を受賞(1981年)し、写真集『New York』(白夜書房)で第8回木村伊兵衛写真賞を受賞。その後も、冷戦構造の歪みが際立つ東西ベルリン、東欧、アジアの諸都市を巡り、1991年崩壊直前の旧ソビエト社会主義共和国連邦を取材。以降、無徴の人々を定点観測的に撮影する「PORTRAITS」や、日本各地の風景を記録し続ける「UNTITLED RECORDS」シリーズを発表してきた。被写体や撮影スタイルの劇的な変遷を辿った北島は、同時に自身の仕事を読み返し、作品を再構成するという作業を繰り返してきた。本書では、北島のキャリアで象徴的に現れるフレーズ「借りた場所、借りた時間」を手がかりに、その仕事を読み返す。